特定秘密保護法をめぐる攻防戦が緊迫局面に入った
11月21日は特定秘密保護法反対運動がこれまでで最高の盛り上がりを見せた。「日比谷野音5000人集会」は主催者の予想を超える参加者が集まり、野音に入りきれない人が大量に出た(私もそのひとりだ。涙)。同日午後4時からの野党系の院内集会も主催者の予想を超える集まりだった。20日に行われた鳥越俊太郎さんや田原総一朗さんらメディア関係者の集会も、会場に入りきれない人数が訪れた。来週26日から28日にかけて自民党は衆院での採決を狙っていると言われるが、反対の声も日々倍増というペースで広がっている。
私もこの1~2週間、この問題に奔走という感じで、19日夜には出版人の反対アピール、きょうの院内集会では日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長として発言と、かなりの集会に顔を出している。メディア界の反応は、新聞でいえば東京新聞、朝日新聞、毎日新聞などが法案反対のキャンペーンを行う一方で、この間の反対集会などをほとんど報じていない読売、産経と、きれいに対応が分かれている。例えば既に二度、テレビキャスターの反対会見が行われたが、登場しているのはTBS系とテレビ朝日系だ。日本テレビ系とフジテレビ系のキャスターは名前を連ねてもいない。
例えばフジテレビ系のキャスターを務める安藤優子さんは、10年前のメディア規制法反対の時にはこうした会見に顔を出し、アピール朗読も行ったのだが、今回は会見への参加を辞退している。恐らく局の意向だろう。
マスコミは、廃案要求という絶対反対の立場かどうかとなると全く一枚岩ではない。日本新聞協会の反対声明が結末部分が曖昧な表現になっているのもその現われだ。また出版界も、19日の反対会見はもともと雑誌編集長が顔を揃えてという、10年前の個人上保護法反対の時のイメージで進めていたのだが、実際のところ大手雑誌の場合は、編集長個人は同意しても会社の判断で会見には出ないという週刊誌も少なくなかった。やはりこの10年間でメディア界がかなり変容したという事情の影響は否めない。
一番顕著なのは10年前の運動を引っ張ったフリーライターが今回はなかなか結集できないことだ。この10年間でノンフィクションの書き手は、総合雑誌が次々と潰れていくなかで、廃業する人も多く、こういう問題で結集するような基盤を失ってしまった。秘密保護法は、ゲリラ的な取材で権力の機密に迫ろうとする者を処罰したり威嚇したりものだから、本当はゲリラを自認してきたフリージャーナリストこそ反対に立ち上がるべきなのだが、10年前の反対運動との違いは明らかだ。
さて、そういうジャーナリズムをめぐる状況や、法案は報道にどんな影響を及ぼすかなどを議論しようと、企画したのが11月24日(日)の文京シビック小ホールでのシンポジウムだ。そうそうたるメンバーが顔を揃え、この間行ったような会見でなく、市民をまじえて議論を行おうという企画だ。詳細は以下の通りなので、ぜひ多くの人が参加して一緒に議論をしてほしい。
特定秘密保護法に反対する表現者と市民のシンポジウム
●11月24日(日)開場18時10分、開会18時半、終了予定21時15分 入場料500円 定員370名
会場:文京シビック小ホール (文京シビックセンター2階)
丸ノ内線・南北線後楽園駅、大江戸線春日駅 徒歩0分/JR水道橋駅徒歩8分
主な出演者 田原総一朗(キャスター)、吉岡忍(作家)、佐高信(評論家)、香山リカ(精神科医)、宮台真司(社会学者)、田島泰彦(上智大教授)、青木理(ジャーナリスト)、野中章弘(アジアプレス代表)、雨宮処凛(作家)、清水勉(弁護士)、浅野健一(同志社大教授)他多数。
主催:11・24集会実行委員会
事務局:月刊『創』編集部 電話03-3225-1413 FAX03-3225-0898 http://www.tsukuru.co.jp
後援:日本ペンクラブ、メディア総研、マスコミ文化情報労組会議(MIC)、憲法と表現の自由を考える出版人懇談会、日本ジャーナリスト会議(JCJ)、アジア記者クラブ、『世界』編集部、『週刊金曜日』編集部、月刊『創』編集部、他
※座席を確実に確保したい方は下記へ「1124参加希望」という件名で、お名前と電話番号を送って下さい。当日は予約した方に先に入場いただきます。live@tsukuru.co.jp