亀田興毅が井上尚弥へエール「軽量級でも稼げることを証明して欲しい」
井上尚弥(26=大橋)について、元ボクシング世界3階級王者の亀田興毅(32)が語った。
亀田は現役時代、井上と同じ階級(ライトフライ級~バンタム級)で戦っていた。
勝敗を分けたもの、家族の存在、今後の井上尚弥への期待などについてインタビューした。
井上尚弥VSドネア戦について
ーーーWBSS決勝戦の井上尚弥選手の試合は見ましたか?
亀田:ハイライトは見ました。 まだ全部は見ていませんが結果は知っています。
ーーーどうでしたか?
亀田:あまり見ていないのできちんとしたことは言えませんが、この世紀の一戦でリングに上がった事が素晴らしいと思います。
日本人でこれだけのビッグマッチをした選手はいませんし、大舞台でしっかりと結果を残した。正真正銘のスーパースターです。
ーーーあの試合で完全にスーパースターになりましたね。 試合の印象はどうでしたか?
亀田:井上選手は想像以上にタフでしたね。打たれ強いと思いました。
ーーードネア選手にあれだけ打ち込まれても、それ以上のパンチを打ち返していました。
亀田:そうですね。 この試合でタフネスを証明したので、これから先が楽しみですね。
家族の存在
ーーー井上選手の強みは何だと思いますか?
亀田:「努力」だと思います。 一生懸命トレーニングしているでしょう。
それに、お父さんもすごいですよね。 家族の力がなければ、あそこまで強くなれなかったと思います。
ーーー亀田選手もお父さんの影響でボクシングを始めて、二人三脚で世界チャンピオンになりました。井上選手と似たところがありますか?
亀田:井上選手も、子供の頃から365日ボクシング漬けの生活をしてきたと思います。
ジムから家に帰っても、家族でボクシングの話をしたり、ビデオを見て研究したり。
そういう環境だったからこそ、 ボクシングで強くなれたんだと思います。
ーーー環境は大切ですよね。亀田選手もお父さんがボクシングを教えてくれる環境が大きかったということですか?
亀田:はい。そうでなければ自分は世界チャンピオンになれなかったと思います。
ーーーなるほど。
亀田:自分もそうでしたが、子供の時は親が導いてあげることが大切です。
勝敗を分けたもの
ーーーそういう環境は選手にとって大切ですよね。
亀田:井上選手の場合は、 子供ができて、さらに守るものが増えましたから。背負っているものが多い選手は強いですよ。
ーーーそうですね。9ラウンドにピンチがあった時「息子の顔が浮かんだ」と話していました。
亀田: 二人とも勝ちたい「気持ち」も、「トレーニング量」も同じぐらいでしょう。
であれば「何のために勝つのか」「誰のために勝つのか」それが相手より上回った方が勝つのではないでしょうか。
ーーー目的がしっかりしている選手が強いということですね。
亀田:はい。
もし戦うとしたら
ーーー亀田選手が井上選手と、現役時代戦うとしたらどう戦いますか?
亀田:自分が一番ピークの時で、フライ級かスーパーフライ級で戦ったらという考え方になりますね。
ーーーなるほど。
亀田:接近戦で行くのではないでしょうか。
ーーー距離が離れるとすごいですもんね。
亀田:離れると何もできないまま終わります。戦い方もうまいですし、距離感も絶妙です。
そうなると「接近戦」ですね。12Rガード固めて、ひたすら追いかけ回すという作戦で行きます。
それで行ったとしても、カウンターをもらって倒されてるかもしれないし。 穴のないボクサーですよね。
世界王者はもっと稼いで欲しい
ーーー今後の井上選手に期待することはありますか?
亀田:海外で活躍して軽量級でも稼げるということを証明して欲しいです。
ーーーなるほど。
亀田:それに憧れて始める人もいると思います。
昔のナジーム・ハメド(元IBF・WBO・WBC世界フェザー級王者)みたいに。1試合3〜5億は稼いで欲しいですね。
ビッグマネーを手にするぐらい、ボクシングが盛り上がって欲しい。
「これぞ世界チャンピオン。すごいぞ井上!」と思えるくらい稼げるボクサーになって欲しいと思います。
ーーーかっこいいですよ。みんな憧れると思います。
亀田:ただ、日本国内だと限界があると思います。
ーーー井上選手は、今後海外で活躍していくのではないでしょうか。
亀田:アメリカで試合したとしても、マッチメークなどなかなか難しい所はあります。
ーーー相手次第ですね。 いいライバルがいれば。
亀田:引退してからの方が人生長いですから、現役の時にしっかり稼いで、次の人生に行かなければいけないです。
ーーーそうですね。ボクサーだけでなく、アスリートはセカンドキャリアという課題はありますよね。
亀田:井上選手に限らずに、 世界チャンピオンになる選手にはもっともっと稼いで欲しいと思います。
ボクシング界全体が盛り上がるように、 そういう業界作りをしていってほしいですね。