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飛行機、新幹線、高速バスの新型コロナによるキャンセル・変更対応。交通機関によって大きく異なるので注意

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
羽田空港国内線第2ターミナル(筆者撮影)

 新型コロナウイルスの影響で旅行や出張を取りやめるケースも増えており、各交通機関は対応に追われている。1つのきっかけとなったのが、2月25日に政府が発表した新型コロナウイルス感染症対策の基本方針だった。それ以降に各交通機関では、無料での払い戻しや変更などの対応をするなどの特別対応を実施している。

 JRは全線が対象となっているが、飛行機や長距離バスにおいては会社によって対応が異なっているので注意が必要だ。3月5日朝10時時点での、国内移動における状況をまとめてみた。

■国内線(ANA・JAL・スカイマークなど)

 ANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)及びJALグループ航空会社(日本トランスオーシャン航空、日本エアコミューター、琉球エアコミューター)は2月28日に、2020年2月28日(金)~4月5日(日)搭乗分までの国内線航空券において、無料でキャンセル・変更をする特別対応を開始したことを発表している。往復利用など複数区間の利用の場合も、1区間でも対象期間に該当していれば、特別対応となる。

※3月6日11時45分修正:当初の3月19日搭乗分までの予定が4月5日までに延長になりましたので、当該部分を書き換えました。

 また、スカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤー、FDA(フジドリームエアラインズ)、IBEXエアラインズ、オリエンタルエアブリッジ、天草エアラインも同様に3月19日搭乗分までの予約において、無料でキャンセル・変更できる特別対応となっている。3月20日以降については、今後の状況次第で延長される可能性もあり、定期的に利用する予定の航空会社のホームページを確認しておくといいだろう。

 更にANAとJAL、スターフライヤーは3月6日(金)~12日(木)までにおいて一部路線で減便を行う。ANAは羽田~新千歳(1日最大5往復)、羽田~福岡(1日最大3往復)、羽田~伊丹(1日最大2往復)、羽田~広島(1日最大2往復)などで7日間で208便を減便する。JALは羽田~新千歳(1日最大4往復)、羽田~福岡(1日最大5往復)、羽田~伊丹(1日最大2往復)などで7日間で352便を減便する。またスターフライヤーも羽田~北九州の1往復を減便する。

 国内線の予約動向について、ANAによると、3月における国内線全体の予約数は前年比で約4割減、北海道発着路線については約5割減となっており、JALでも3月2日時点で国内線全体の予約数は前年比で4割弱減という状況になっている。

関連記事:ANA、JALの国内線航空券、3月19日搭乗分まで無料でキャンセル・変更が可能に。注意点は?(2月28日掲載)

■国内線(LCC)

 ここで注意が必要なのが、LCC(格安航空会社)だ。国内線を運航する、ピーチ、ジェットスター・ジャパン、スプリング・ジャパン、エアアジア・ジャパンの4社全て、運航する便においては通常通りの航空券対応となっており、無料でのキャンセル・変更といった特別対応は3月5日時点では行われていない。LCC各社の国際線は多くの便で運休になっていることから、運休便での払い戻し対応は行われているが、国内線ではスプリング・ジャパンの一部便を除いては、新型コロナウイルス関連での欠航便はなく、もし旅行を取りやめる場合には通常の手数料が必要となる。

※3月5日11時50分追記:ジェットスター・ジャパンは、国内線全路線において、3月4日までに購入した航空券において(3月5日~31日搭乗分が対象)、4月28日(火)までに出発する便への無料での変更及び次回以降にジェットスターグループ便で利用できるフライトバウチャーへの払い戻しを可能とする特別対応を開始することを発表した。

 多くのLCCでは、セールやキャンペーン運賃の一部を除いては、有料で便変更が可能であることから、旅行を取りやめる場合には、キャンセルするよりは変更する方がよいケースもある。LCCでも一部運賃では無料で変更できることもあるので(ただし変更後の運賃が高い場合には差額が必要)、まずは購入した運賃ルールを確認して欲しい。

 予約変更が有料であっても、ピーチの最安値運賃「シンプルピーチ」、ジェットスター・ジャパンの最安値運賃「Starter」では共に、新たに予約する運賃の差額+3300円の手数料での変更が可能(国内線の場合)となっており、もし延期が可能であるならば便変更するという選択肢も考えてみるといいだろう。変更が不可能なLCCや運賃種別もあるので注意が必要だ。

■新幹線・特急列車

 JR各社(JR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州)では現在、新幹線・特急列車を含め、感染拡大防止を理由に旅行を見合わせる場合において、乗車券・特急券・グリーン券などを手数料なしで払い戻しする対応を行っている。最近、新幹線や特急列車をネット予約で購入する場合も増えているが、その場合でも同様の対応となっている。特に対象期間は設けられておらず、購入済みの全てのチケットが対象となる(JR指定券は原則、乗車日の1ヶ月前から発売開始となっている)。

 特にネット予約の場合には、事前にチケットを受け取っている場合と受け取り前(チケットレスを含む)によって、払い戻し方法が異なることから、JR各社のホームページで確認していただきたい。ただし、回数券など一部のチケットは対象とならないケースもあるので注意して欲しい。

 新幹線も通常より乗車率が下がっているが、イベント列車や一部臨時列車以外の定期列車については、通常通りに運転されている。

■高速バス

 バス会社については、路線バスや短距離高速バスでは通常通りの運行・通常同様の乗車券の取り扱いとなっているが、中長距離の高速バスでは一部のバス会社で特別対応となっている。

 JRバス各社(ジェイアールバス関東、ジェイアール東海バス、西日本ジェイアールバス、中国ジェイアールバス)は、感染拡大防止を理由に旅行を見合わせる場合において、手数料なしで払い戻しする対応を行っている。JRの鉄道同様に対象期間は設けていない。その他では、ピンクの車体で多くのバスを運行するウイラー(WILLER EXPRESS)についても3月15日(日)乗車分まで取消料を免除する対応を取っているが、特別対応を実施しているバス会社は限定的だ。

 また高速バスでは、東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド・東京ディズニーシー)へ乗り入れている路線で、15日まで一時休園に伴い、運休もしくは区間運休になっている路線が出ている。

国内主要都市間を結ぶWILLER EXPRESS(広島にて筆者撮影)
国内主要都市間を結ぶWILLER EXPRESS(広島にて筆者撮影)

 最新の情報は各交通機関のホームページより確認していただきたい。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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