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羽田空港C滑走路閉鎖の影響で、本日夕方以降は昨日同様に国内線の大幅遅延・直前欠航の可能性高まる

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
福岡空港で搭乗開始を待つ人で溢れている搭乗ゲート前(1月3日夜、筆者関係者撮影)

 1月2日の事故直後から続いている羽田空港C滑走路の閉鎖。事故機となったJALと海上保安庁のそれぞれの機体の撤去が始まっておらず、C滑走路再開の見通しは立っていない。

3日は最後に羽田空港に到着した国内線は午前3時14分。5時間以上遅れた便も続出

 事故翌日の3日は、滑走路が1本使えないことで離陸や着陸の長い順番待ちとなり、遅延が玉突き状態となり、特に夕方以降は多くの便で3時間~6時間の遅れが発生した。中には5時間以上の遅延で出発する予定が、出発準備が間に合わずに、延長していた地方空港の運用時間を更に過ぎてしまったことで、長い時間を待ったあげくに欠航になった便も複数あった。

 ANAでは3日の朝の時点で3日の国内線欠航便が54便(影響人数1万1000人)と発表していたが、夜になってから欠航を決めた便も多くあり、最終的に119便(影響人数2万5600人)に拡大した。

 JALでも3日の朝の時点で3日の国内線欠航便が44便(影響人数7700人)と発表していたが、最終的には98便(影響人数1万7000人)に拡大した。

 筆者が確認したなかでは、3日は最後に羽田空港に到着したのは、那覇からのANA便で羽田空港到着が27時14分(4日午前3時14分)だった。

昨日の福岡空港でのANA発着案内版。写真は19時過ぎであるが、22時過ぎに遅延予定だった便が運用時間の問題で直前欠航となった(1月3日、筆者関係者撮影)
昨日の福岡空港でのANA発着案内版。写真は19時過ぎであるが、22時過ぎに遅延予定だった便が運用時間の問題で直前欠航となった(1月3日、筆者関係者撮影)

特に着陸便が混雑。通常は2本使える滑走路が1本しか利用できずにキャパオーバーに

 羽田空港では滑走路が1本使えないだけで、羽田空港全体の滑走路の処理能力は半分程度に落ちてしまう。特に着陸機においては、通常は4本のうち2本の滑走路を北からの便と南からの便で使い分けることが多いが、現在は1本しか使えないことで、昨日を例にすると北から飛んでくる便と南から飛んでくる便を房総半島の南あたりで1つのルートにまとめ、羽田空港のA滑走路に着陸していた。

関連記事:羽田空港、事故機の影響で滑走路が1本使えず大幅遅延が続出。羽田行きでは管制塔の指示で離陸時間を遅らす(2024年1月3日掲載)

 羽田空港周辺の空路が大混雑しており、全国各地から羽田空港へ向かう国内線のほとんどの便では、管制塔からの指示で離陸時間を指定された。乗る予定の飛行機が羽田からやって来ないだけでなく、搭乗が完了して出発準備ができていても長い時間、ゲートもしくは誘導路で待機する措置をとっていたが、この状況によって昼以降、遅延する時間が徐々に延びた。羽田空港に到着後、同じ機体で次の目的地へ向かう便も当然遅延となり、昼頃は30分程度の遅延だった便も、夜には3時間以上の遅延になってしまった。

 結論から言えば、滑走路が1本使えないことで、キャパオーバーの状況になっている。大幅に羽田空港の発着便を減らさない限りは、C滑走路閉鎖中はこの状況が続くことになる。特に昨日のケースを見ても、夕方以降に利用する人は大幅遅延の可能性が非常に高い。

4日も午後から1時間以上の遅延便、欠航便が増えてきている

 1月4日も午前中の便では機材繰りの関係で欠航する便も出ているが、運航されている便については遅れの場合も30分程度が多かったが、午後に入ってから1時間以上の遅延便が目立つようになった。

 既にANAやJALでは午後以降の便の一部を欠航にしているが、それでも3日に飛んでいた便数とは大きく変わらないことから、夕方以降に2時間以上の遅れが続出する見込みとなっている。

 最新の出発時間は各航空会社のホームページから確認できるが、空港に到着後に更に遅延が拡大したり、直前で欠航することも頭に入れておく必要がある。

出発直前で欠航になった利用者。預けた荷物は到着ロビー手前の手荷物を受け取るターンテーブルで返却された(1月3日22時過ぎの福岡空港、筆者関係者撮影)
出発直前で欠航になった利用者。預けた荷物は到着ロビー手前の手荷物を受け取るターンテーブルで返却された(1月3日22時過ぎの福岡空港、筆者関係者撮影)

ANAでは95便、JALでは82便が欠航を決めている。これから更に増える可能性も

 ANAでは午前8時時点では、4日の欠航便は65便(影響旅客数:1万5400人)と発表していたが、14時現在では95便(影響旅客数:2万1300人)に拡大している。JALでも、昨日20時時点では4日の欠航便が63便と発表していたが、11時現在で68便となっている。
(2024年1月4日18時10分追記:16時現在、JALの欠航便は82便、影響旅客数:1万5260人)

 JALでは4日の羽田~伊丹については、羽田発16時20分発以降、伊丹発16時30分以降、最終便までの全便(5往復10便)の欠航を決めている。ANA、JAL及びスカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーの羽田発着路線を中心に欠航便が拡大する可能性がある。

※2024年1月4日18時10分写真追加: 1月4日16時10分過ぎの福岡空港の出発案内版(筆者関係者撮影)
※2024年1月4日18時10分写真追加: 1月4日16時10分過ぎの福岡空港の出発案内版(筆者関係者撮影)

新幹線の移動を検討も

 東京~大阪、東京~岡山、東京~広島、東京~青森、東京~函館など新幹線での移動が可能であれば、新幹線の席が確保でき、新幹線が通常運転であれば、目的地に確実に到着することができることになる。3日・4日も午前中の遅延よりも午後以降の遅延が拡大していることから、特に午後に移動する場合に、飛行機から新幹線への切り替えを検討することも考えたいところだ。

 新たに新幹線の切符を購入する必要はあるが、購入済みの航空券は原則、特別対応で、実際の運航の有無に関わらず、手数料なしでの払い戻しができる。東海道新幹線や北海道・東北新幹線では、現在の飛行機混雑を考慮した臨時列車を設定している。


国内線の各航空会社では航空券の特別対応対象期間を拡大

 国内線の各航空会社では、1月2日の事故以降、手数料なしでキャンセル・変更ができる「特別対応」を引き続き行っている。4日の14時30分現在は、以下の通りとなっている。航空会社によっては羽田発着路線のみ対象の航空会社と国内線全路線が対象の航空会社がある。

■ANA

羽田空港発着便:1月8日までの全便

(2024年1月4日18時10分追記:加えて国内線全路線で1月5日までの全便も対象に)

■JALグループ

国内線全路線:3月31日までの全便

(国際線についても3月31日までの全便が特別対応に)

※1月31日までの手続きが必要

■スカイマーク

羽田空港発着便:1月5日までの全便

■AIRDO

国内線全路線:1月5日までの全便

■ソラシドエア

国内線全路線:1月5日までの全便

■スターフライヤー

羽田空港発着便:1月5日までの全便

羽田空港第2ターミナルのAIRDO・ソラシドエアのチェックインカウンター(1月3日、筆者撮影)
羽田空港第2ターミナルのAIRDO・ソラシドエアのチェックインカウンター(1月3日、筆者撮影)

6日からの3連休までにC滑走路が再開できるかが鍵

 斉藤鉄夫国土交通大臣は3日夕方の会見で「当該滑走路についても、現地調査や事故機撤去後、早期に再開できるように対応に全力を尽くしている」と話すなど、事故調査が一定程度進んだ段階で機体の撤去が始まることになり、機体撤去が終わった段階で滑走路の補修など飛行機の離着陸ができる準備を進めた上で、C滑走路が再開されることになる。

 1月4日の15時時点では、まだ機体を撤去する状況にはなっていないが、6日から始まる3連休に入る段階で再開できるかどうか次第で、3連休の羽田空港発着便の遅延・欠航の状況は大きく変わることになる。C滑走路再開までは、現在の状況が大きく改善することは難しいだろう。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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