創立5年でメジャー・リーグ・サッカーを制したLAFC
ロスアンジェルスのダウンタウンに建つLAFCのホーム、バンク・オブ・カリフォルニア・スタディアムは現地時間11月6日の16時から催された優勝パーティーで賑わっていた。
2022年度のMLS(メジャー・リーグ・サッカー)のファイナル、MLSカップでフィラデルフィア・ユニオンと120分戦って3-3。熱戦はPKで明暗が分かれた。
LAFCはホームのアドバンテージを大いに生かした。2万2384名が詰めかけたスタディアムの熱気を力に変えることが出来、勝利した。
両チームとも、キックオフと同時に前線から激しいプレッシャーをガンガンかける好ゲーム。まさに手に汗握る展開となった。
まずは27分、日本人の祖母を持つMF、ケリン・アコスタがフリーキックを叩き込んでLAFCが先制。だが、東地区の覇者、フィラデルフィア・ユニオンも縦パスを受けたハンガリー人MF、ガズダグ・ダーニエルが58分に同点弾。
82分にはLAFCのコーナーキックに、コロンビア人CBのヘスース・モリーリョが飛び込んでヘディングシュートを決める。2度目のリードを奪うも、2分後にはフィラデルフィアのフリーキックから198センチの英国人CB、ジャック・エリオットがこれまた頭で合わせて追いつき、2-2で延長戦を迎えた。
7分という長いロスタイムのなかで、LAFCは元メキシコ代表で背番号10のキャプテン、カルロス・ベラを下げ、今季から加入したウェールズ代表のガレス・ベイルを投入。
115分、フリーになったフィラデルフィアの選手をゴールエリア外で引っかけて止めたGKのマクシム・クレポーがレッドカードをもらう。そして123分、ゴール前の縺れから、GKが弾いたボールを再びジャック・エリオットが押し込み、フィラデルフィアがリードを奪った。
既にアディショナルタイムに入っており、一人少ないLAFCは万事休すかー--という空気にスタディアムは覆われた。一方のフィラデルフィアは、勝利を手中に収めたと感じた選手もいたであろう。
しかし、である。
127分。左サイドからのクロスにベイルがドンピシャで合わせたヘディングシュートがネットを揺らして3-3。
PK戦に入ると互いに一人目は失敗。地元の大声援を背にしたLAFCの第2GK、ジョン・マッカーシーが2本を止め、初Vを飾った。
30歳のマッカーシーは、今季3試合目の出場。2015年から4シーズン、フィラデルフィア・ユニオンに所属していたが、2年目からの3季は2軍で過ごしている。その悔しさをこれ以上ない場で、晴らした形となった。
ファイナルではプレーしなかったが、イタリアの名DFジョルジョ・キエッリーニ効果も大だったと私は思う。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20220802-00308073
LAと言えば、同じ地にMLSの雄、ギャラクシーの存在がある。1996年以降9度MLSカップの舞台に立ち、5回の優勝を誇る。新参者であるLAFCは常にその背を追いかけてきた。
が、今回は組織が一丸となってVを手繰り寄せた。バンク・オブ・カリフォルニア・スタディアムの熱気は、"サッカー不毛の地"と評されたアメリカ合衆国で、確かにこの競技が息衝いていることを示していた。
上記のように、得点に絡んだ選手だけでも多国籍である。今後も、名プレーヤーたちが米国に集うことを期待したい。
来るカタールW杯で、アメリカ代表はどこまで勝ち上がれるであろうか。カタールの次は、カナダ、メキシコと共にホスト国となる。その土壌は確かに肥えつつある。