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防御率1点台で最優秀防御率のタイトルを獲得できなかった投手たち。横浜DeNAの東は防御率1.98

宇根夏樹ベースボール・ライター
森下暢仁 Aug 7, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、東克樹(横浜DeNAベイスターズ)は、172.1イニングを投げ、防御率1.98を記録した。横浜DeNAでは、大洋ホエールズ時代の1971年に防御率1.87の坂井勝二以来、52年ぶりの防御率2.00未満だ。けれども、最優秀防御率のタイトルを獲得することはできなかった。東の上には、防御率1.75の村上頌樹(阪神タイガース)がいた。

 東が規定投球回に到達したシーズンは、一軍1年目の2018年と昨年の2度。2018年の防御率2.45は、こちらも、菅野智之(読売ジャイアンツ)の防御率2.14に次ぐ、セ・リーグ2位に位置した。ちなみに、1971年の坂井も2位。この年のセ・リーグでは、広島東洋カープの藤本和宏が防御率1.71を記録した。

 今世紀に入ってから、シーズン防御率2.00未満の投手は、延べ39人を数える。2009年の吉見一起は防御率2.00だが、厳密には2.00未満の1.996…なので、この人数に含めた。彼らのうち、43.6%の17人は、そのシーズンの防御率リーグ1位ではなかった。

 なお、2001~23年の23シーズン中、2001~05年と2016年と2018年の計7シーズンは、どちらのリーグにも防御率2.00未満はいなかった。

筆者作成
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 ダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)は、防御率2.00未満で2位が3度だ。内海哲也と菅野は、防御率2.00未満で2位と3位が1度ずつ。この3人中、ダルビッシュと菅野は他のシーズンに最優秀防御率のタイトルを獲得しているが、内海は皆無。最多奪三振と最多勝はあり、2007年の180奪三振、2011年の18勝、2012年の15勝は、いずれもセ・リーグで最も多かった。2011年は、吉見と最多勝のタイトルを分け合った。

 ダルビッシュと菅野の2人と同じく、吉見、杉内俊哉田中将大(東北楽天ゴールデンイーグルス)、千賀滉大(現ニューヨーク・メッツ)も、防御率2.00未満で2位以下のシーズンと最優秀防御率のシーズンがどちらもある。あとの6人は、他のシーズンも、最優秀防御率はなし。和田毅(福岡ソフトバンク)と攝津正は、2位のシーズンもゼロだ。

 ただ、和田を含め、まだキャリアを終えていない投手は、これから最優秀防御率のタイトルを獲得することも――そのシーズンの防御率が2.00未満でなくても――あり得る。なかでも、森下暢仁(広島東洋)と東は、まだ20代。現在の年齢は、26歳と28歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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