クリスマスにチョコレートルームで「やましい楽しみ」のすすめ
クリスマスのスイーツ
クリスマスと言えばどういったスイーツを思い浮かべますか。
日本ではホール型のショートケーキであるクリスマスケーキがよく食べられています。
海外では、フランスではブッシュ ド ノエル、ドイツではシュトーレン、イタリアではパネトーネ、イギリスではクリスマスプディング、アメリカではジンジャーブレッドクッキーなどがよく食べられています。
クリスマスにチョコレート
日本では確かにクリスマスの一番人気はショートケーキです。
しかし、「3000円高級ガトーショコラのケンズカフェ東京によるコンビニクリスマスケーキを理解するための3つの点」でも紹介したように、ケンズカフェ東京の「クリスマスクラシックショコラ」は人気を博しています。
また、全国菓子工業組合連合会の記事によれば、チョコレートの消費量は、クリスマスを含む12月は夏の数倍にも上っており、12月もそれなりにチョコレートの人気が高い時期であることを示しているのです。
そして、こういった状況の中で、クリスマスに向けてチョコレートに力を入れているレストランがあります。
それは、2016年12月19日から25日のディナーに、チョコレートルームを開設するシャングリ・ラ ホテル 東京のイタリア料理店「ピャチェーレ」です。
23日から25日にかけては、クリスマス用の豪華な「ナターレ・ディナー」が提供されますが、もちろんこのコースでもチョコレートルームを楽しめます。
ワインセラーからチョコレートルームへ
「ピャチェーレ」は「バレンタインに媚薬を」でも紹介したように、バレンタインデーに媚薬をテーマにしたユニークなコースを提供し、今回はクリスマスにチョコレートルームを特設してチョコレートを好きなだけ味わえるようにします。
「ピャチェーレ」は、店の中央に隠し部屋のような天井高4.8メートルものワインセラーが設けられており、そのワインセラーがこの時期にだけチョコレートルームへと変身するのです。
イタリアではクリスマスにチョコレートを楽しむ
では、どうしてクリスマスにチョコレートなのでしょうか。
質問をぶつけてみると、イタリア出身の総料理長 アンドレア・フェレーロ氏は「イタリアでは、クリスマスにケーキやスイーツに加えて、チョコレートを楽しむ文化がある」と答えます。
しかし、だからと言って、ただチョコレートを提供するだけでは、つまりません。
そこで、フェレーロ氏は自身が好きな映画「チャーリーとチョコレート工場」の世界観からヒントを得て、チョコレートに満たされた世界を表現できたら面白いのではないかと思いを巡らせ、持ち前の遊び心からチョコレートルームを設けたのです。
テーマはブラック
ユニークなアイデアですが、思ったことを実行に移すことは、そう簡単なことではありません。
チョコレートルームを設けるにあたり、何か苦労はあったのでしょうか。
フェレーロ氏は「ワインセラーの壁にブラックチョコレートの板チョコを敷き詰めるが、真っ直ぐ均等に美しく張るのが難しかった」と述べます。
今回のテーマはブラックであり、チョコレートルームの壁をブラックチョコレートで満たします。全部で300枚ものチョコレートを壁に貼るということなので、非常に根気のいる作業です。
チョコレートアイテム
ブラックチョコレートで満たされたチョコレートルームには、以下のようなアイテムが並べられています。
- シチリア風 チョコレートとリコッタチーズのカンノーロ
- チョコレートファッジケーキ クリオロラム酒
- チョコレートプラリネ
- パフ菓子チョコレートカンノーロ
- オペラケーキ
- チョコレートディプロマティック
- ザッハトルテ
- チョコレートクリームパフ
- ホワイトチョコレートのミルフィーユ 柚子キャンディ
- ルリジューズ(ペストリー)
- ボネ
フェレーロ氏はチョコレートルームを「お客様へのクリスマスの贈り物」と述べます。
これだけたくさんのチョコレートアイテムが並べられ、しかも、ブッフェ形式で好きなだけ食べることができるので、確かにこれはチョコレート好きにとって、至福のクリスマスプレゼントになるでしょう。
プラスアルファのエンターテイメント
ところで、チョコレートルームに合わせて、「ナターレ・ディナー」の料理もチョコレートを意識したものになっているのでしょうか。
フェレーロ氏は「コースの料理は、料理として完結しており、チョコレートとは関係ない」とはっきり述べます。「チョコレートルームは、私からお客様への心からの贈り物。あくまでもプラスアルファの独立したエンターテイメント」であると説明します。
確かに、黒トリュフ、タラバカニ、フォアグラ、イベリコ豚や季節の野菜などが使われた料理は、それぞれがしっかりと確立されています。
それでありながら、8品コースの「Grande(グランデ)」も、5品コースの「Mezzo(メッゾ)」も、調理方法や食感、プレゼンテーションを変えていきながら、飽きないように料理が流れていきます。
料理にチョコレートを無理に使っていたら、完成度を高めるのは難しかったことでしょう。
ホテルのメインダイニングを気軽に
「ピャチェーレ」は高級ホテルのリストランテということで敷居が高いと思われがちです。しかし、若い世代の客に、ホテルのダイニングを身近に感じてもらいたいということから、2015年10月2日に「ピャチェーレ」の店内一部で「タパス by ピャチェーレ」というカジュアルなエリアをオープンしました。
一品一品が気軽に食べられる値段とポーションになったタパスは、期待した通り、若い世代を引き寄せ、「ピャチェーレ」の認知に一役買ったのです。
チョコレートはあなたにとって何かという問いに対して「guilty pleasure(やましい楽しみ)」と人懐っこい笑顔で返すフェレーロ氏は、これからもホテルのメインダイニングという敷居を取り払い、幅広い世代に新しくも気軽に訪れ易いイタリア料理を提供してくれるものだと期待しています。