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「メッセンジャー」黒田が語る“50歳までに準備すること”

中西正男芸能記者
コンビ結成25年を迎えた「メッセンジャー」黒田有

漫才コンビ「メッセンジャー」の黒田有さん(46)は今年、コンビ結成25年を迎えました。2009年の暴行騒動で謹慎生活も経験しましたが、現在は関西テレビ「ちゃちゃ入れマンデー」、テレビ大阪「わざわざ言うテレビ」などで司会を務め、“関西の顔”として存在感を見せています。さらに、舞台「だーてぃーびー~汚れたテレビ~」(8月18~22日、大阪・ABCホール)にも主演。ますます活動の幅を広げていますが、25年の時を噛みしめ、今、心の奥底にあるものを丁寧に言葉に置き換えていきました。

友だちみたいにはなれない

25年…。そうですねぇ、ま、いろいろありましたね。そら、謹慎期間もありましたし(苦笑)、若手で仕事がない時代もあったし。中でも、ホンマに鮮明に覚えているのは、やっぱり(「ダウンタウン」、「千原兄弟」らを輩出した吉本興業の劇場)「心斎橋筋2丁目劇場」時代の話ですね。

まず「2丁目」のメンバーになれた時。これはうれしかった。なんというか、プロの芸人になれた気がしましてね。そこから賞レースで賞をもらったりするところも鮮明に覚えてるんですけど、賞も、若ければ若いほど、取った時のことを覚えてますね。なんとかして認められるために、若い頃はそれだけ「賞を取らなければ」の意識が強かったんでしょうね。やっぱりライバル意識むき出しで、とがってやってましたからね。

「2丁目」は本当にみんなライバルでしたから。ま、他の人たちはライバルでありながらも仲良くしていた部分もあったのかもしれませんけど、僕はとりわけライバル心が強くて、友だちみたいにはなれなかったですね。僕だけがつまはじきにされてた?ほっといてくれ(笑)。いや、正味の話、「友だちを作りに行ってるんやないから」という気持ちはありましたよね。

すごいメンバーが残ってる

今から考えても、当時「2丁目」でやっていた人の“残り方”はすごいですもんね。ほとんどが売れずに消えていく中、今でも活躍している確率が異常に高い。「ダウンタウン」さん、今田耕司さん、東野幸治さん、「雨上がり決死隊」さん、ちょっと後輩(「中川家」、ケンドーコバヤシ、陣内智則、たむらけんじ)もいてるし。バチバチのライバル意識の中でやってたからこそ、残ってるという部分も確実にあると思います。

当時を懐かしむようになったのはここ数年ですね。残っているメンバーというのは、それぞれがそれぞれの道をしっかりと歩いているからこそ残っている。ということは、もう自分の歩むべき道が定まってるから、他の人を見ても嫉妬心が生まれないというか。そういう段階になって、やっと懐かしむ気持ちが出てきたのかもしれません。

(相方の)あいはらに関しては、僕よりあいはらの方が変わったと思いますし、あいはらの方が挫折を味わったんやろうな…。う~ん、コンビってすごく難しい話なんですけど、なんちゅうたらエエのか、間違いなく、その2人にしかできないものがある。そして、相方以外の他の人とやっていて意味のあるものもある。今は互いにそれが分かってるからエエのかなと。そして、明確に僕とあいはらでは芸人論が違う。これは便利なことも不便なこともある。でも、だからこそ、コンビなのかもしれませんけどね。やっぱり難しい話になってしまいますけど。

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まさかMCをやっているとは…

25年前の自分が今の自分を見たら、思ってたのと全然違うと思うでしょうね。司会・MCなんてやってるとは思ってもなかった。もっと笑いに特化した仕事をしてると思ってました。昔はコント番組も多かったし、おもしろいものを作る職人みたいになってるんやろうなと想像していたと思います。

東京ではMCをやったことがないので分からないですけど、大阪の場合は、絶対にMCが中心にならないといけない。番組を作り上げていくのはMCしかない。報道であろうが、バラエティーであろうが。そして、決しておいしい役割ではない。番組が終わってしまったらMCのせいだし、何か問題があってもMCが責任を負う。そこまでを担うのがMCだと思っています。

ただ、MCじゃないと経験できない部分もある。それがスタッフさんとのつながりというか、コミュニケーションの濃さ。「番組を作っているんだ!!」という感覚を共有しているわけですから。イチ出演者では、これは経験できない。こちらがしっかりできている、やっていると思ってもらえれば、いい評判が広がっていくでしょうし、そうでないと思われたら悪い話が広まっていく。人間は“合う”“合わない”もありますし、なかなか難しい。でも、しっかりと向き合った結果、スタッフさんが「この人のために、いろいろやってやろう」と思ってくださったりしたら、そら、もう、うれしいもんですよ。

今は50歳への準備の時

僕は来年1月で47歳。3年経ったら50です。もう、そんな歳です。“二十歳の誓い”やないんやから、今から「なんでもやりたいです!!」という歳でもない(笑)。今、考えていることは「やりたいことが出てきた時に、それがやれるように準備をしておく」ということ。

分かりやすい例えで言うと、仮に、僕が映画を撮りたいと思ったとします。思うのはナンボでもできますけど、それを実現できるかどうかは全く別の話。当然、お金もいるし、いろいろなパイプもいるし、助けてくれるプロの力も必要です。

そんな時に「映画を撮るんやったら、まずあそこに連絡をして、そして、あの人にあれを相談して」という具合に、そういう関係をきちんと作っておくということ。一つの目安として、50歳になった時にそういう方々が周りにできていることを目指したいなとも思っているんです。

逆に言うと、そのためには、今、僕がしっかりと汗をかかないといけないし「この人のために、いろいろやってやろう」と思ってもらえるように日々過ごさないといけない。それが次のための“準備”にもなると言いますか。そうやって、これからもこの仕事を続けていけたらなと思ってるんです。

え、準備は準備でも、結婚の準備ですか?いや、結婚もね、ちゃんと考えて、準備をしていかなアカンと思ってます。オッサンが金も何にもなかったら、どうしようもないですからね。ちゃんと、そのあたりも整えてね、きちんと考えて…。40も半ばを過ぎて、何を言うてんねんと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、ま、だからこそ、しっかりと準備をね。意外と、石橋はたたいて渡るタイプと言いますか。それを踏まえたうえで、結婚に「はい」と言ってくれる相手をね…。

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…何を笑っとんねん、アホ!!

■黒田有(くろだ・たもつ)

1970年1月29日生まれ。大阪府東大阪市出身。板前を経て、91年にNSC大阪校10期生の同期、あいはら雅一と漫才コンビ「メッセンジャー」を結成。コンビとして上方漫才大賞、上方お笑い大賞など受賞多数。2009年12月、暴行騒動で謹慎生活を経験するも、現在は関西テレビ「ちゃちゃ入れマンデー」、テレビ大阪「わざわざ言うテレビ」、朝日放送「きよし・黒田の今日もへぇーほぉー」などに出演。コンビでもMBSテレビ「メッセンジャーの○○は大丈夫なのか?」、MBSラジオ「それゆけ!メッセンジャー」などに出演中。また、主演舞台「だーてぃーびー~汚れたテレビ~」(8月18~22日)が大阪・ABCホールで上演される。関西ローカルの人気生番組を舞台に、テレビの裏側を描く物語。作・演出は後藤ひろひと氏。共演は川下大洋、竹下健人、小塚舞子ら。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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