射殺された36歳のプロボクサー
統一ウエルター王者で、パウンド・フォー・パウンドKINGのテレンス・クロフォードが、SNSでサムエル・ティという36歳のボクサーの死に追悼の意を示した。
ティのトレーナーであるラシエム・ジェファーソンも、24日の金曜日にSNSで「今日は悲しいニュースを聞いた。私は、兄弟であり、ファイターでもあり、友人である大切な人を失った。とても打ちのめされている。神に召されたのがベストタイミングなのか分からない。神は周囲のために別の場所を用意し、それが苦しみを緩和する唯一のものである筈だ」と記した。
リベリアで生まれたティは、祖国で続いていた内戦から逃れるために、5歳の時に家族と共にガーナに移住する。5年後、米国に移り住み、ニューヨークを経由してフィラデルフィアの住民となる。以降、25年以上暮らした。
21歳の時、ティの住居が火災に見舞われ、7名が命を落としている。2008年12月のことだった。彼は母親、兄、姉、生後18か月の甥っ子と姪2人、そして家族の友人を失った。
後にプロボクサーとしてリングに上がるようになったティは、亡くなった人たちに勝利を捧げようと「12-26-08」という文字をトランクスに縫い付けた。
ティは2021年3月10日に、SHOWTIMEが売り出すコリアン系アメリカン、ブランドン・リーに3回ノックアウトで負けている。それでも7カ月後にファーストラウンドKOで再起し、続く試合も<咬ませ犬>として扱われながらジョージア人ファイターから黒星を挙げた。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f0643a36d89d162c7afca2cf41e5c8f2b1f8cc8a
8回戦時代には、現WBCスーパーフェザー級王者のオシャキー・フォスターを下している。
幼い頃の悲劇を乗り越え、リング上で10年にわたるプロとしてのキャリアを築いたティは、デラウェア州ウィルミントンで射殺された。捜査当局は今のところ、銃撃事件の背後にある状況に関して、ノーコメントとしている。
ティの家族は「土曜日、ティはSEPTAバスの運転手として、シフトを組まれていたため、フィラデルフィアに戻る予定だった。ティは、彼の子供の母親(かつての恋人)を訪ねたところ、別の男性と口論になり、死に至った」とコメントした。
36歳。まだまだやりたいこと、やらねばならないことがあった筈だーーー。今はただ、ご冥福をお祈りします。