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2チームで打率0割台だった選手が、3チーム目で「救世主」になる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダニエル・ボーゲルバック(ミルウォーキー・ブルワーズ)Sep 12, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 30本塁打以上のシーズンがありながら、通算60本塁打未満でキャリアを終えた選手は、一人もいない。それについては、1ヵ月前に「究極の「一発屋」として、このまま姿を消すのか。昨シーズンは30本塁打&球宴選出ながら…」で書いた。

 ダニエル・ボーゲルバック(ミルウォーキー・ブルワーズ)がそうなる可能性は、まだ消えていない。昨シーズンの30本塁打を含め、通算本塁打は39本だ。

 今シーズン、シアトル・マリナーズでは、18試合で打率.094(53打数5安打)、2本塁打。トロント・ブルージェイズでは、2試合で打率.000(4打数0安打)。いずれもロースターから外され、8月24日にマリナーズからブルージェイズ、9月3日にブルージェイズからブルワーズへ移籍した。

 けれども、2度の移籍を経て、ボーゲルバックのバットは、再び快音を響かせ始めた。ブルワーズでは、ここまで13試合に出場し、打率.395(43打数17安打)、3本塁打を記録している。それぞれのチームで挙げた打点は、4、0、10だ。

 現在、ブルワーズは、ポストシーズンへ進めるかどうかの瀬戸際にいる。あと6試合を残し、勝率は5割ちょうど。ナ・リーグ中地区では、2位のセントルイス・カーディナルスを1ゲーム差で追っている。ワイルドカード・レースでは、2番手に位置しているものの、1番手のシンシナティ・レッズも3番手のサンフランシスコ・ジャイアンツも、勝率はブルワーズと同じだ。地区2位ならポストシーズン進出だが、ワイルドカードは1リーグに2枠しかない。

 サンプル数の少なさからして、ボーゲルバックが復活した、とは言いきれない。ただ、ここからも打ち続け、それによってブルワーズをポストシーズンへ導けば、ボーゲルバックは「救世主」として称えられるだろう。ミルウォーキー・ジャーナル・センティネルのトム・ホージコートとトム・ロージアックが書いた記事によると、ボーゲルバックはバットだけでなく、明るい性格でブルワーズにポジティブな影響をもたらしているという。

 なお、ボーゲルバックがブルワーズの前にプレーした2チームのうち、マリナーズはポストシーズン進出を逃しそうだ。ア・リーグ西地区2位のヒューストン・アストロズからも、ワイルドカード2番手のブルージェイズからも、それぞれ4ゲーム離れている上、この2チームとマリナーズの間には、ロサンゼルス・エンジェルスが位置している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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