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ニック・マルティネスが破棄した選手オプションは650万ドルだが、手放した総額は1800万ドル

宇根夏樹ベースボール・ライター
ニック・マルティネス Oct 19, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニック・マルティネスは、選手オプションを破棄し、サンディエゴ・パドレスからFAになった。

 3月にパドレスと交わした4年2550万ドルの契約には、契約金の200万ドルと今シーズンの年俸400万ドルに、2023年と2024年と2025年の選手オプションがついていた。いずれも、年俸650万ドル(解約金150万ドル)だ。

 全体の4年2550万ドルは、3度ともオプションを行使した場合――破棄しなかった場合――に、マルティネスが手にすることができた総額を示している。200万ドル+400万ドル+650万ドル+650万ドル+650万ドル=2550万ドルだ。途中で解雇され、在籍年数が短くなったとしても、契約はそのまま残る。

 今回のオプション破棄により、実際の契約は1年750万ドルとなった。内訳は、契約金の200万ドルと2022年の年俸400万ドルに、解約金の150万ドルだ。一方、実質的に破棄したのは、3年1800万ドルということになる。こちらは、650万ドル×3年の計1950万ドルから、2023年分の解約金150万ドルを引いた金額だ。

 北海道日本ハム・ファイターズと福岡ソフトバンク・ホークスを経て、5年ぶりにメジャーリーグへ戻った今シーズン、マルティネスは、106.1イニングを投げて防御率3.47を記録した。最初の12登板中10登板は先発。その後の35登板は、いずれもブルペンからマウンドに上がった。先発10登板の52.1イニングは防御率4.30、救援37登板の54.0イニングは防御率2.67。ポストシーズンでは、救援7登板の11.0イニングで防御率0.82だった。

 FAになったマルティネスは、3年1800万ドルを上回る契約を求めると思われる。ただ、それ以上に望んでいるのは、先発登板の機会ではないだろうか。

 再契約の可能性も、低くはなさそうだ。ファンサイデッドのロバート・マリーによると、オプション破棄の前に、マルティネスとパドレスは、契約の見直しについて話し合っていたという。パドレスには、ジョー・マスグローブダルビッシュ有ブレイク・スネルがいるものの、今のところ、彼らに続くローテーションの4番手と5番手は確定していない。

 なお、ロベルト・スアレスも選手オプションを破棄し、パドレスからFAになった。すでに、スアレスは再契約を交わしている。それについては、こちらで書いた。

「スアレスがパドレス残留。年俸500万ドルのオプションを破棄した後、5年4600万ドルで再契約」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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