日本だけじゃない「梅雨の大雨」北朝鮮で炭鉱事故、韓国では冠水
「梅雨」は北東アジア共通の現象で、中国ではメイユ、韓国ではチャンマと読まれます。
今年の梅雨は「令和2年7月豪雨」や28日(火)に発生した東北・新潟の大雨など、記録的な大雨が観測されています。一方、同じ梅雨前線がかかる朝鮮半島でも、大雨で災害が起きているようです。
チャンマで災害―韓国
朝鮮半島では、23日(木)から24日(金)にかけて梅雨前線と低気圧が通過し、大雨が降りました。
韓国第二の都市・釜山(プサン)では、1920年以降で第10位の記録となる、1時間80ミリの雨が降り、36時間では202ミリに達しました。多数の家屋が浸水したほか、冠水した車から3人が遺体で発見されたと伝えられています。
また自動車メーカー大手ヒュンダイの主工場がある蔚山(ウルサン)でも218ミリの雨が降りました。増水した川に流され、1人が死亡したとのことです。首都ソウルなどでも大雨が降って、高速道路が一時閉鎖されました。
気象局によると、23日(木)からの長雨で800ミリの雨が降ったところもあるようです。
大雨で炭鉱崩れるー北朝鮮
同じ前線と低気圧により、北朝鮮・開城(ケソン)では、2日間で108ミリの大雨が降りました。
この大雨が原因で、北朝鮮北部の安州の炭鉱で死亡事故が発生したと、デイリーNKは伝えています。
記事によると、坑道が浸水し崩れたため、労働者12人が閉じ込められたようです。事故が起きた坑道は、梅雨期に度々浸水の被害に見舞われます。鉱山を運営する会社は「大雨の懸念はあったものの、生産の遅れから操業を停止できなかった」などと発表していることから、人災の側面も大きかったと考えられます。
メイユで数十年来の大洪水―中国
他方、中国の梅雨も、長江流域を中心に過去に例を見ない大雨が降っています。
6月からの長江流域の平均降水量は、観測開始以来最大となり、1998年以来最悪とされる洪水が発生しています。湖北省にある三峡ダムでは、決壊のおそれが国内外で囁かれていて、ダムの下流に住む4億人の命が危険にさらされています。
なお1998年の梅雨期には、60日間にわたって長江流域で雨が降り、3,004人が死亡、中国の人口の5分の1に当たる2億2千万人が影響を受けました。
「陰々と降る小雨」
今から約1,000年前のこと。唐の詩人・杜甫は「梅雨」と題した詩の中で、雨の情景をこう詠みました。
「湛湛長江去/冥冥細雨来(長江は水をたんたんとたたえて流れゆき、空からは陰々と小雨が降ってくる)」。
今年の雨は、事情が違うようです。
*追記(7/31)*
韓国・済州島の梅雨は、史上もっとも早い6月10日に始まり、7月28日に明けました。期間は史上最長の49日間でした。また、長江の中・下流域の梅雨は6月14日に始まり、7月29日に明けています。平均総降水量は715.5ミリで、1961年の観測開始以降で最大となったということです。