タレント揃いのライト級 統一王者カンボソスはロマチェンコと対戦か
ボクシング世界ライト級4団体統一王者のジョージ・カンボソス・ジュニア(オーストラリア)が、6月5日オーストラリアで元3団体統一王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と対戦すると報道された。
カンボソスは、昨年11月に統一王者のテオフィモ・ロペスに判定勝ちを収め、王座を獲得した。
ジョージ・カンボソス・ジュニア
現在4つのベルトを持つカンボソスだが、最近までほぼ無名の選手だった。
これまでの戦績は20戦全勝(10KO)。
2019年に元IBF世界ライト級王者ミッキー・ベイや、2020年には元IBF世界フェザー級王者リー・セルビーと対戦しているが、ビッグネームとの対戦経験は少ない。
転機となったのは2021年11月のテオフィモ・ロペス戦。戦前の下馬評では圧倒的不利の予想だったが、1ラウンドにダウンを奪い、激しい撃ち合いの末、2-1の判定勝利でベルトを奪取した。
あまりの激闘に試合後は両者とも病院に運ばれた。
この試合に勝利したことで一躍脚光を浴びる存在となった。
ボクシングの世界では、どんなに強い王者でも負ければベルトを失うし、どんなに不利な予想でも勝てば一気に人生が変わる。
カンボソスは一夜にして栄光を手にし、これを体現したボクサーとなった。
ワシル・ロマチェンコ
対戦報道が出ているロマチェンコは、元WBO世界フェザー級、元WBO世界スーパーフェザー級、元WBAスーパー・WBCフランチャイズ・WBO世界ライト級統一王者で世界3階級を制覇している。
アマチュアでも輝かしい戦績を残し、北京、ロンドン五輪で金メダルを獲得し、五輪2連覇を果たした実力者だ。
ライト級では小柄な体格だが、スピードとテクニックを駆使し、圧倒的な強さを誇る。
全階級を通じて最強のボクサーと称されるパウンド・フォー・パウンドランキングにも長年上位にランクインしてきた。
ロペス戦では、消極的なボクシングで手数を出せず敗れたが、その後の復帰戦では中谷正義や元王者リチャード・カミーを下し、復調の兆しを見せている。
これまでの実績からロマチェンコ有利の見方が多い。しかし、勢いのあるカンボソスもビッグネームとの対戦にさらに気合を入れてくるだろう。
激戦のライト級
ライト級は全階級の中でもっともタレント揃いだ。
4つのベルトを持つのはカンボソスをはじめ、以下の王者たちが君臨している。
元王者のテオフィモ・ロペスをはじめ、若手で人気を集めるライアン・ガルシアも健在だ。
ロマチェンコとの対戦が濃厚なカンボソスだが、WBC正規王者デヴィン・ヘイニーとの対戦も話題に上がっている。
全世界でも選手層が厚く、国内でもロマチェンコと戦った中谷正義や、元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪、ライト級で国内、アジア、東洋の3冠王者だった吉野修一郎、元世界3階級王者のホルヘ・リナレスなど多くの選手が属している。
世界が注目する階級、その最前線に注目したい。