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勝って反省の早稲田大学。新人・伊藤大祐の先発起用、次戦への展望語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は日本ラグビーフットボール協会提供

 早稲田大学ラグビー部は12月19日、東京・秩父宮ラグビー場で2連覇を目指している大学選手権の準々決勝で慶應義塾大学を29―14と下した。1月2日は同会場で準決勝に挑む。

 ところが、ナンバーエイトの丸尾崇真キャプテンは反省の弁を重ねる。

 試合後、丸尾が相良南海夫監督、ウイングの槇と会見した。

 以下、共同会見の一問一答の一部(編集箇所あり)。

相良

「まず、このコロナ禍のなかでの準々決勝。多くのお客さんに来ていただいてありがとうございます。試合は、後半、波に乗りたいところでのペナルティーで苦しい内容になりましたが、粘り強く勝ち切れたことはよかったです」

丸尾

「本日はこのような状況で準々決勝を迎えられてうれしく思いました。最初から仕掛け続けようと言い続けていた。それを出せたことが、前半の内容となった。後半、自分たちのペナルティー、エラーがあり、相手に流れを渡したところがある。もう1回、修正していきたいです」

「まず今日はこういう状態で試合ができたことを喜ばしく思います。練習でやって来たことを出し続けることに関しては、強気でできた。ただ後半、慶應義塾大学のブレイクダウン周りの強さが出て、こちらのペナルティーが増えた。試合は続くので改善したいです」

――12月6日の関東大学対抗戦での明治大学戦では、14―34と反省。ここから何を修正したか。

相良

「セットプレーのところでのミスで流れが掴めなかった。春から積み上げたことを確認。自分たちの形を取り戻す。そこにフォーカスしました。もうひとつは、ボールの運ぶ位置の修正が必要かなと思いましたので、その辺も練習しました。きょうの収穫としては、セットプレーで――相手が変わったこともありますが――ラインアウトでプレッシャーをかけられ、スクラムを安定的に組めた。また、この試合に臨む姿勢、相手を上回る気持ちで戦えた姿勢もです」

 慶應義塾大学とは11月23日に勝って以来の激突。この日も相手の売りの防御を攻略した。序盤に際立ったのは、接点への圧力と大外へのパスだった。

 5―0とリードして迎えた前半14分、敵陣10メートル線付近左で1年生フランカーの村田陣悟がジャッカル。慶應義塾大学の反則を誘ってゴール前左へ進むと、ラインアウトからの連続攻撃で村田が今度は中央突破を決める。

 ここからスタンドオフの吉村紘、フルバックの河瀬諒介と右へ繋ぎ、最後はタッチライン際にできたスペースをウイングの槇瑛人がフィニッシュ。10―0。

 以後も首尾よく攻める。慶應義塾大学の防御の要でアウトサイドセンターの三木亮弥が同17分で退いたのもあり、左中間、右中間で飛び出す防御の背後へパスを通す場面を多く作った。

 司令塔の吉村は、防御網の裏側へ多彩な種類のキックを放った。新人インサイドセンターの伊藤大祐のトライなどで、前半を24-7とリードして終えた。

――ラインアウト。12月6日の明治大学戦で苦しんだものの、この日は相手ボールにいい圧力をかけた。

丸尾

「4年生を中心としたBチームのおかげでいいディフェンスができた。試合のなかでもコミュニケーションを取り続けられて、特にゴール前ではやろうとしていたディフェンスと違ったことを現場の判断でできた。相手を見て、『次、どうするか』というところまで話せたことが、どんどんよくなっていった理由です」

――相手陣営は、下川甲嗣選手のジャンプについて言及していた。

丸尾

「よく反応してくれて、よかったです」

――先制トライは丸尾主将。

丸尾

「チームとしても個人としても先手で仕掛ける、バトルしにいった。それでも試合中盤、後半はボールをもらえなかった。修正し、もっともらえるようにしたい」

――大外を何度も攻略した。

「外にチャンスがあると練習の時からわかっていた。積極的にボールを呼ぶことができた」

――三木選手の退場を受けて。

「三木選手はハードタックラー。(いなくなったことで)ボールが回る機会は多くなったのかなと」

――特に前半は、スタンドオフの吉村選手が多彩なキックを使っていた。ゲームプランか、コミュニケーションを取りながら遂行したのか。

「慶應義塾大学は相手の14番(ウイング)が上がってくると分析していた。試合中も声を出して、積極的にパスを要求しようと思っていました」

――伊藤選手の先発の意図は。

相良

「特に意図はないです。組み合わせというか、チーム状況からの判断としてです。対慶應義塾大学だからなど、何か特別な意図はないです。試合前には緊張しています、みたいに言っていましたが、ボールキャリーでのびのび持ち味を出してくれた。初先発でトライを獲り切れる。非凡なところを見せてくれた。期待以上の働きだったと思います。

 チームのなかで色々あったので。言っていいのかは…ですが、当初では、スタートのプランではなかった。巡り合わせで、先発になった。ラグビーですから、色んな怪我があるので。ただ、この大学選手権の準々決勝で80分近く経験をさせられて、しっかり仕事をしてくれたのは、チームとしても大きかった」

 ハーフタイムが明けると、接点での反則を連発。慶應義塾大学へ多くのチャンスを渡す。吉村による地域獲得のためのキックがダイレクトタッチ(蹴った地点からの相手ボールラインアウトで再開)になったことも手伝い、後半は24―14と迫られていた39分まで無得点だった。

 主将が反省するのは、この後半の過ごし方だった。

――後半、停滞した背景について。

丸尾

「ディフェンスのブレイクダウン周り。もう1回、精度高く、我慢強くできるようにしたいです。多分、一発で(ボールを)獲りにいこう、とか、早まってしまった部分がある。粘り強く我慢する必要がある。次戦に向け、粘り強く、しつこく(と意識したい)」

――次戦の相手は帝京大学。対抗戦で勝った相手ではあるが、当時と違い怪我人が復帰している。

相良

「まださっき結果だけを見たので、これから考えます。まぁ、トーナメントは負ければ終わり。対策も考えなきゃいけないですが、自分たちを1日、1日伸ばしていくことにフォーカスしたい。自分たちの力を伸ばしたうえで、帝京大学に挑みたいです」

丸尾

「先を見ず、まず帝京大学に勝つために1日1日、積み重ねて、戦っていきたいです」

「1度戦って勝ったことを気にしない。勢いのあるチームに対して早稲田大学の強みを出せば、絶対に勝てる。それを信じて取り組んでいきたいです」

 1月2日、2年連続の決勝進出を目指す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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