Yahoo!ニュース

年間最高勝率は更新できるか? 藤井聡太竜王、徳田拳士四段、ハイアベレージのまま今年度残り3か月!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 将棋界では年度(4月~翌年3月)ごとに記録が集計されます。2022年度の将棋界では藤井聡太竜王(20歳)と徳田拳士四段(25歳)が歴代ランキング上位に入るペースで高い勝率で勝っています。

 藤井竜王は今年度、王座挑戦権こそ逃したものの、叡王、棋聖、王位、竜王の四冠を防衛。これから始まる王将戦七番勝負で防衛すれば五冠堅持。棋王戦五番勝負を制すれば棋王獲得で史上最年少六冠となります。名人挑戦権を争うA級順位戦も現在トップ。また早指しのトーナメント戦は将棋日本シリーズと銀河戦でも優勝しています。

 藤井竜王は5年度連続で勝率8割台。対戦相手がほとんどトップクラスとなった現在もそのペースは変わらず、今年度も勝率8割を超えています。

 年度勝率8割を1回でも達成した棋士ですら、数えるほどしかいません。2回は中原誠16世名人、3回は羽生善治九段のみ。藤井竜王の成績がいかに規格外であるかがわかります。

 今年4月にデビューした徳田四段。加古川青流戦では優勝し、王位戦では予選を抜けてリーグに入るなど、順調にステップアップを重ねています。またC級2組順位戦でも昇級をうかがえる位置につけています。

 徳田四段は12月27日におこなわれた竜王戦6組2回戦で小山怜央アマに敗れ、ついに勝率ランキングで藤井竜王に並ばれました。しかしそれでも依然、年間最高勝率をねらえる位置にいます。

 これまでの年間最高勝率は1967年度に中原五段(当時20歳、現16世名人)が記録した47勝8敗(勝率0.855)です。

 藤井竜王はここから7勝0敗、徳田四段は6勝0敗で、中原五段のペースを上回ります。残り3か月、まだまだ対局がたくさんある両者。中原五段の不滅の記録を塗り替えることはできるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事