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梅雨明け、豪雨、台風 3つに共通すること

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
6月29日正午、日本付近の雲の様子。梅雨前線の雲を赤点線で囲む(ウェザーマップ)

 最も早い梅雨明け、九州北部の豪雨、台風7号の発生。一見すると別々の現象のように思えるが、これらは太平洋高気圧が影響している。強まる太平洋高気圧、台風7号は沖縄から九州の西へ。

史上初の6月の梅雨明け

 気象庁は29日(金)午前、関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表しました。平年の梅雨明け日は7月21日です。

 太平洋高気圧が強まっているとは言え、6月の梅雨明けは過去例がなく、厳しい暑さを憂慮したのでしょうか。早い梅雨明けが今後、どのように影響するのか、とても興味深いです。

 梅雨がとても短くなったため、東京の降水量は155.5ミリと例年(梅雨期間287ミリ)の半分程度です。梅雨が長ければいいというものではありませんが、水需要を思えば、あまり短すぎても。複雑な気持ちです。

九州北部に線状降水帯

 こちらは29日午前5時過ぎの雨雲の様子です。長崎県から福岡県にかけて、発達した雨雲が連なり、線状の降水帯を形成しています。

29日午前5時過ぎ、九州北部に線状降水帯が発生(高解像度ナウキャスト,ウェザーマップ)
29日午前5時過ぎ、九州北部に線状降水帯が発生(高解像度ナウキャスト,ウェザーマップ)

 佐賀県鳥栖市では午前7時20分までの3時間に149.5ミリの大雨が降りました。3時間に150ミリは短時間大雨の目安とされ、土砂崩れや浸水、河川の氾濫が起こりやすくなる非常に危険な状況です。

 梅雨明けと豪雨、一見すると共通点がないように思えます。でも、昨年(2017年)は九州北部豪雨の翌日に、関東甲信地方では梅雨が明けました。高気圧では風が時計回りに吹くため、湿った空気がまるで河のように日本列島に流れ込み、梅雨明けと豪雨が隣り合わせになることがあります。

台風7号の行き先も

 そして、29日は日本の南海上で台風7号が発生しました。今月に発生した台風は4個、平年の2倍です。7月1日(日)の太平洋高気圧(亜熱帯高気圧)の張り出しをみると、台風は太平洋高気圧の外側を進むことがわかります。

太平洋高気圧(亜熱帯高気圧)と台風7号の進路予想図(台風の進路予想図は29日午後3時現在,著者作成)
太平洋高気圧(亜熱帯高気圧)と台風7号の進路予想図(台風の進路予想図は29日午後3時現在,著者作成)

 台風の進路は太平洋高気圧の張り出しに左右され、今後は沖縄から九州の西の海上を北上する予想です。

 梅雨明けに、豪雨に、台風に。すべては太平洋高気圧がカギを握っています。

【参考資料】

気象庁:梅雨の時期に関する関東甲信地方気象情報 第2号,2018年6月29日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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