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米最高齢女性114歳に 世界最長寿の田中カ子さんと共通する「ある好物」

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
114歳の誕生日を迎えた米最長寿のマーフィーさん。(CBSニュースのキャプチャ)

ニューヨークのハーレム地区に住むアレリア・マーフィー(Alelia Murphy)さんが7月6日、114歳の誕生日を迎えた。

マーフィーさんは、以前の長寿女性、スザンナ・マスハット・ジョーンズ(Susannah Mushatt Jones)さんがブルックリンで2016年、116歳で亡くなって以降、アメリカの最長寿者として知られる人物だ。

1905年、ノースキャロライナで生まれたマーフィーさん。ニューヨークのハーレムに移り住んだのは1926年のことで、夫を若くして亡くした後、裁縫師や販売員をしながら2人の子を女手一つで育ててきた。

ハーレムといえばアフリカ系アメリカ人とその文化で知られる場所だが(*)、かつてニューヨークがニューアムステルダムと呼ばれていたころ、オランダ系移民の居住地だった。

19世紀後半に奴隷が解放され、自由の身になった人々は20世紀初頭に入りニューヨークへ流入、オランダ系移民が去った後のハーレムに一大コミュニティを築いた。世界恐慌や第二次世界大戦後はアメリカ経済が低迷し、ハーレムが犯罪の温床になった時代もある。

彼女がニューヨークに移り、たくましく生き抜いてきたのは、まさにアメリカ(特にニューヨーク)における黒人史の激動の時代だったのだ。

(* 注:ハーレムは21世紀以降、再開発地区の対象になり、クリントン元大統領がオフィスを構えるなど白人も流入し、近年ジェントリフィケーション化している)

マーフィーさんの長生きの信条は、「何事も適度に」「神を信じて正しく生きる」だそう。

また食生活について、加工食品ができる前の時代に生まれたマーフィーさんは、自家栽培の健康的な食物をとってきた。酒を飲まず、よく食べる。好物は「甘いもの」。特に炭酸飲料、アイスクリーム、チョコレートなどを好むという。

110歳以上は世界中に33人

そのうち14人が日本人

ギネスワールドレコーズと提携し、1990年より世界の110歳以上の人々を追跡調査している老年学調査団体「GRG」(ロサンゼルス)によると、現在生存している110歳以上の人は世界中に33人。驚くべきはすべて女性だ。(そのうち14人が日本人!)

マーフィーさんは世界で8番目の長寿になる。

そしてトップ、つまり世界の最高齢者はいわんや日本人!(8人中5人が日本人、2人はフランス人)

長寿世界一は、1903(明治36)年生まれで現在福岡市内に住む、116歳の田中カ子(かね)さん。

115歳のときの様子。

『デイリーメール』紙やWikipediaなどの情報によると、田中さんは食べ物の好き嫌いがなく、1日3食の食事をほぼ完食するという。好物はこれまた「甘いもの」だそう。缶コーヒー、栄養ドリンク、炭酸飲料などを毎日3本飲んでいるという。

私の周りの70歳以上の元気なアメリカ人を見ていると、男女ともにステーキやハンバーガーなど肉料理をモリモリ食べている印象があり、「よく食べる」は何となく予想できたが、加えて「甘いもの」(&炭酸飲料)とは意外だった。

マーフィーさんも田中さんも、1日も長くお元気でいてください!

November 27, 2019 Updated:

マーフィーさんは11月23日、家族に見守られながら114歳の生涯を閉じました。ご冥福をお祈りいたします。記事

(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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