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早稲田大学が11年ぶり16回目の優勝! 心境は?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
齊藤は優勝Tシャツを着ていた(筆者撮影)

 ラグビーの大学選手権決勝が1月11日、東京・国立競技場であり、早稲田大学が昨季王者の明治大学に45-35で勝利。11大会ぶり最多16回目の優勝を果たした。

 明治大学のショートサイド(狭い区画)を狙う攻めなどを駆使し、前半を31―0と大量リード。試合後は相良南海夫監督と齋藤直人主将が会見した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

相良

「6万近い観衆のなかラグビーの試合としては国立で初めて。いろんな巡り合わせのなかしかも相手が明治。そういうなかでやれたことだけでも幸せだったんですけど、勝利できて、11年ぶりに荒ぶるを歌えて、本当によかったと思っています。選手の頑張りに感謝しかないです」

齊藤

「監督同様、6万人近くのお客さんのなか、ラグビーの試合が初めてというこの国立競技場で試合ができて嬉しかったです。前半、あれだけ点を取れてハーフタイムを迎えて、正直、試合展開的にはどこかで気の緩みが出ると思うんですけど、ハーフタイムに『気を引き締めて後半に向かおう』と話していたのですけど、気を緩めたわけではないのですけど、ああやって追い上げられたのはどこかに気の緩みがあったから。そこは反省したいですけど、最後、結果として勝ててよかったと思います」

――明大には12月1日に大敗している。40日間で変わったこと。

相良

「早明戦でディフェンスで受けた。ブレイクダウンで受けた。その状況で何ができていないのか。選手権のノックアウトステージのなかでフィジカルを鍛え直すわけにはいかないなか、明大が当たり前にやっていることを我々ができていなかった。身体が小さいと言われる方は仕掛けなきゃいけないのに仕掛ける準備すらできていなかった。まずはそういうのをしっかりやろう、と。練習中、とにかくそれを意識する。意識の変化が全てにいい循環を作ったというか…。その意識が選手の意識も高めたと思いますし、今日のようなアタック、ディフェンスに繋がったのかなと思います」

齊藤

「ディフェンスの部分が40日前の早明戦に比べると成長した。(当時は)1対1のタックルの部分でゲインされてテンポを出されて終わったのですが、その1対1のタックルの部分が40日前とは違ったのかなと思います。タックルの練習を増やすというより、セット時の姿勢を『勝ちポジ』といているんですけど、練習の最初から最後まで意識しようと言っていて、その意識づけが前半の40分、できたのかなと思います」

――攻撃のイメージ。

齊藤

「前回はポゼッションをかなり意識し過ぎた。今回は、前回ポゼッションを従事したエリアでもスペースがあればボールを運ぼうと意識しました」

――グラウンドの両端を攻められた。

相良

「明大を分析し、あそこを攻めようと。中野(将伍、大型インサイドセンター)が戻ってきたのも大きかったんですけど、中野を絡める形で準備したプレーが今回は本当にはまったというところですね。メンタル的には、アタックもディフェンスも攻め続けると。準決勝あたりから言い続けてきたんですが。私はディフェンスのチームということでずっとフォーカスしてきたんですけど、いまのメンバーを見た時、ディフェンスを強みにしつつもアタックし続けることで相手に脅威を与えられ、自分たちの勢いを作ることも思えた。準決勝あたりから、とにかく攻めようと言い続けていました」

――後半初頭、敵陣ゴール前でトライを取り損ねた直後のスクラムでターンオーバーを奪いました。

齊藤

「あまり覚えてなかったんですけど、押されてボールがこぼれたので、組み直しかなと思ってそれをはたいたら、そのまま続行して…という形。押して取り返そうというより、押してプレッシャーをかけようと話していたと思います」

――久しぶりに早稲田大学が優勝。

相良

「嬉しいです。勝つか負けるかは本当に相手あっての話。こっちも負ける気でやっていませんし、きょうは選手が自分たちのやって来たことをやろうとグラウンドに出てやり切った結果。監督としては去年、それまでなかなかできなかった年越しを果たし、(準決勝敗退という)悔しさを経験して、先週の準決勝を越えてこのステージに立った。このステージに立てたことで、僕としては役目を果たせたかなという思いです」

――第2部歌『荒ぶる』は、優勝した時のみ歌える。

相良

「最高でしたね。自分も卒業した時に歌えなかったので、感無量というか。本当にいいもんだなと思いました」

――齋藤選手は喜んでいないように映る。

齊藤

「自分的には喜んでいるつもりなんですけど、終わった瞬間は安心しましたね。早明戦以降、負けたら終わりの戦いで、早明戦はああいった形で敗戦して、どうにかしてチームが変わらなきゃいけないと、はねのけてチーム全員が努力してきた40日間だと思う。今日の試合前の円陣まで、『23人が結果を出して、支えてくれた多くの人や出られない部員の分の努力を肯定しよう』と話してきた。全部員の努力を肯定できたことがよかったですし、キャプテンとして安心しました」

――こんな大舞台で息子さん(フランカーの相良昌彦)がトライ(前半39分)。どんな気分か。

相良

「いいプレーヤーですね(一同、笑う)。アタックだけじゃなくて、ディフェンスもとてもよくやってたと思うんですが、選手としていい選手だと思いましたし、こういう舞台でトライを獲るのもたいしたもんだなという思いもありました」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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