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ジャニー喜多川さん死去の不確定情報、匿名ブログがネットに広める。惑わされないよう注意

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
ジャニー喜多川さん死去の情報を流す匿名ブログ。筆者キャプチャ

 「ジャニーズ事務所のジャニー喜多川さんが亡くなったことがわかった」。こんな不確定情報がネットで拡散しており、ジャニーズファンのあいだに動揺が広がっています。

 しかし、現時点ではこれはデマでしかありません。惑わされないようにしてください。

情報元が不明

 この情報の発信源は、『バズプラスニュース』という匿名ブログのひとつです。

 同ブログでは「ジャニーズ事務所の代表取締役社長であり、芸能プロモーターでもあるジャニー喜多川社長(87歳)が亡くなったことがわかった」と伝えていますが、その情報元を明らかにしていません。

 つまり今回の情報の信頼性は同ブログが信頼できるかどうか、です。

 「ジャニーさんが亡くなった。ソースは『バズプラスニュース』」と書けば、その信頼できなさは伝わるかと思います。

同ブログはデマで記事配信停止の過去も

 『バズプラスニュース』は過去に「韓国アイドルBTSがユニセフ事務所に『原爆看板』持ち込み問題視」とのデマを流し、提携先のニュースサイトから記事の配信を停止されたことがあります。

 そのほかにも「韓国で一度客に出した料理の再利用が合法になった」と、韓国の衛生ガイドラインをミスリードして誤解させるデマを流したこともあります。

 これらのニュースを伝えた『バズプラスニュース』は、発信元が誰なのかも、誰が責任を取るのかも、今後どうするのかも明らかにしていません。

 ようするに信頼性が全くないのです。そのような匿名ブログが発信源の情報を信じるべきではありません。

 いまわかっていることは「ジャニー喜多川さんの容態はわからない」であり、わからないなかでファンの皆さんが匿名ブログによる不確定情報に惑わされる必要はないのです。

デマを発信すれば有利になる状況

 問題は、こうした指摘も『バズプラスニュース』にとって有利になってしまう点です。

死去の記事は同ブログのPVランキング1位に。筆者キャプチャ
死去の記事は同ブログのPVランキング1位に。筆者キャプチャ

 『バズプラスニュース』の目的はPVを集めて広告収入を得ることであり、たとえデマであっても広まれば広まるだけ彼らにとっては収入が増えることになります。

 この記事における指摘も、結果として『バズプラスニュース』へと人を誘導することになります。

 本来であれば触れないことが一番なのですが、情報がないなかで多くの人が惑わされているため今回の記事を書いています。

 また、今回の記事のたちが悪い点は「ありえそう」ということです。「87歳の老人が緊急入院」したのであれば、亡くなっている可能性は十分に考えられます。

 だから不確定情報が当たっていれば「ほら本当だった。デマじゃなかったでしょ?」と言えますし、外れていてもすでに広告収入は稼げているうえに、信頼性はもともとないため何のデメリットにもなりません。かなり悪質だと言えます。

記事内には多数のGoogleの広告が埋め込まれている。筆者キャプチャ
記事内には多数のGoogleの広告が埋め込まれている。筆者キャプチャ

 ジャニーズファンの皆さんはジャニー喜多川さんの容態を大変心配していると思いますが、このような確定してもいない情報を広める匿名ブログを拡散する行為をジャニーズ側は喜ばないと思います。

 正式な発表があるまで待たれることをおすすめします。

6月23日20時17分追記

 タイトルを「ジャニー喜多川さん死去のデマ、匿名ブログがネットに広める」としておりましたが、「デマかどうかの根拠がない」との声が出ているため「デマ」を「不確定情報」に訂正しました。

 匿名ブログによる情報も根拠がないと思われますが、この記事の目的はジャニーズファンが不確定情報に惑わされないよう呼びかけるものであるため、論争にすべきではない点について修正することにしました。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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