オープン戦で「打率最下位」の選手はシーズンでも打てなかったのか。今春は広島東洋のクロンが打率.063
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ケビン・クロン(広島東洋カープ)がオープン戦で記録した打率.063(32打数2安打)は、規定打席に達した38人のなかで最も低かった。ワースト2位の塩見泰隆(東京ヤクルトスワローズ)は打率.122(41打数5安打)なので、5分以上の差がある。
過去15年(2006~20年)のオープン戦で最下位の打率に終わった選手のうち、9人のシーズン打率は.250に届かなかった。一方、他6人の打率は.270を上回り、2017年のホセ・ロペスはセ・リーグ6位の打率.301を記録した。オープン戦の打率が低くても、シーズンもそうなるとは限らないようだ。
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昨シーズン、アリゾナ・ダイヤモンドバックスでプレーしたクロンは、打率.000に終わった。ただ、これは8試合の成績に過ぎない。その前の2シーズンは、ダイヤモンドバックス傘下のAAAでそれぞれ80試合以上に出場し、どちらも打率.300以上を記録している。2018年は104試合で打率.309、2019年は82試合で打率.331だ(2019年はメジャーリーグの39試合で打率.211)。
ちなみに、2010年のオープン戦でワースト打率のディオニス・セサルは、前年にメキシカン・リーグの99試合で打率.380を記録した。2019年のケニス・バルガスは、前年にAAA(ミネソタ・ツインズ傘下)の130試合で打率.240。2人とも、1シーズン限りでNPBを去った。
そもそも、クロンが期待されているのは、アベレージよりもパワーだ。2015~18年にマイナーリーグで打ったホームランは、それぞれ、27本、26本、25本、22本。2019年のホームランは、AAAで38本、メジャーリーグで6本、ルーキーリーグで1本。計45本を数えた。
2008年の中村剛也(埼玉西武ライオンズ)は、オープン戦で28人中ワーストの打率.119(42打数5安打)に続き、シーズン打率.244もパ・リーグ・ワースト3位(29人中27位)に位置したが、46本のホームランを打ち、初の本塁打王を獲得した。中村は2005年に80試合で22本塁打を記録したが、規定打席に到達したのは2008年が初めてだった。
13年前の中村のように、クロンがパワーを発揮すれば、打率が低くても問題にはならないだろう。オープン戦でクロンが記録した2安打は、どちらもホームランだ。3月7日と9日に2試合続けて打った。
なお、クロンの兄であるC.J.クロンは、2月に半ばにコロラド・ロッキーズとマイナーリーグ契約を交わし、ここまで、スプリング・トレーニングのエキシビジョンエキシビション・ゲームで打率.324(37打数12安打)、3本塁打とよく打っている。3月20日には、ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待)から「昇格」し、メジャーリーグのロースターに入った。一塁のレギュラーとして、開幕を迎える見込みだ。
![C.J.クロン(コロラド・ロッキーズ)Mar 1, 2021](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/unenatsuki/00229146/image-1616628045539.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
クロンの弟ケビン・クロンについては、昨年12月にこちらでも書いた。