【発達障害者の支援の仕方】 ASD(自閉スペクトラム障害)とADHD(注意欠如多動性障害)
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、「発達障害者の支援の仕方」というテーマでお話したいと思います。今日は発達障害の中でも、主に、ASD自閉スペクトラム障害とADHD注意欠如多動性障害についてのお話になります。
最初に、発達障害のアセスメント(評価)ですが、
発達障害の特性は、長所にも短所にもなりうるので、その活かし方を考える第一歩がアセスメント(評価)になります。この、活かし方を考えるという視点がないとアセスメントをする意味がありません。この部分は、非常に重要です。
アセスメント・ツールには、「スクリーニング(ふるいわけ)」と「診断・評価」があります。一次スクリーニング(M-CHATや周囲や本人の気付き)は、一般の集団を対象とした健康診査で、なんらかの問題のある児童を特定するものです。
続いて、二次スクリーニング(ASD,ADHD,SLD)は、発達障害のリスクの高い群を対象に作成されたものです。
その後、精神科医により発達障害であるという診断・評価が下されます。
ちなみに、精神科医の中には、ノイローゼに詳しい精神科医、精神病に詳しい精神科医、発達障害に詳しい精神科医がいるので、ここでは発達障害に詳しい精神科医に診断・評価されるという形になります。
続いて、支援のための包括的アセスメント(評価)には、
① 発達障害に特化したアセスメント
② 知的水準・認知特徴のアセスメント(知能検査)
③ 適応行動のアセスメント(適応行動尺度)
コミュニケーション、日常生活スキル、社会性、運動スキル
④ 感覚や運動のアセスメント
⑤ 併存する精神疾患のアセスメント
⑥ 心理社会的・環境的アセスメント
などがあり、今言ったアセスメントを詳しく説明・解説すると、それぞれ一冊の本になります。
次に、今日のテーマである「発達障害のある人をどう支援していくか?」ということなのですが、支援においては、プラン(計画)・ドゥ(実施)・シー(検証)が重要です。まずは、この基本姿勢を忘れないようにしてください。
支援や介入としては、薬物療法と発達障害者本人への心理的介入、および家族への心理的介入があり、支援全体から見ると、教育的支援や社会福祉的支援があります。
続いて、ABA(応用行動分析)は、先行刺激と行動と後続刺激の関係の中で行動を変容しようとする方法で、先行刺激と後続刺激を操作することによって、問題行動を低減させ適応行動を促進しようとするアプローチです。
一例をあげると、「掃除しなさい」と伝え、発達障害者が掃除したら、褒めるという行為をします。この場合、「掃除をしなさい」という言葉が先行刺激であり、褒めるという行為が後続刺激となります。
続いて、発達障害者をカウンセリングする際ですが、カウンセラーは、支持的であり、かつ指示的でなければなりません。要するに、発達障害者であるクライアントをしっかり支持し、精神的に支え、そして「どうすればいいか?」を適格に指示、アドバイスする…ということです。アドバイスする時は、発達障害者であるクライアントが、わかりやすいよう、図や絵を描いて説明すると良いでしょう。そう、発達障害者であるクライアントには、視覚支援が大変に効果的なのです。
続いて、発達障害者に対しては、日々の対応が重要です。発達障害者には、家族の影響が非常に大きいです。家族支援で有用なものには、ペアレント・トレーニングなどがあります。
発達障害者の人たちの最終目標は、地域の中で自立して機能的に暮らすことです。そのためには、発達障害者のニーズに合わせて他機種・他機関との連携が必要となります。その場合、数年単位の長期目標を立てることが必要となってきます。
発達障害者には、足りないところ(行動やスキル)を伸ばすことも大切ですが、長所をさらに伸ばすことも重要であり必要です。
ちなみに、独立自営という道は、失敗する人が多く、それは発達障害者も同じです。けれど、発達障害者は、自分の興味のあることに対しては、邁進する力が強いので、定型発達者よりも発達障害者のほうが成功する確率は高いと言われています。これは大きな希望ではないでしょうか。実際、独立自営で成功している自閉スペクトラム障害の人やADHDの人は少なくありません。
続いて、発達障害の支援方法についてお話します。
TEACCHは、発達障害者にとって、環境を理解しやすく、不要な混乱をもつことなく、安心して過ごせるように開発されたプログラムです。
発達障害者の中でも、ASD、自閉スペクトラム障害の方は、目に見えないものや抽象的なことを考えることが苦手なので、
① どこで ② いつ ③ なにを ④ どれだけ/いつまでに ⑤ どのようなやり方で ⑥ 終わったら次に何をするのか? を教えてあげることが大切です。
一例をあげると、落ち着きがない発達障害者に対しては、「静かにして」ではなく、「手は膝においてお口を閉じて」と言ってあげると、具体的でわかりやすいでしょう。
「静かにして」とか「ゴソゴソしないで」とか言われても、発達障害者の一部の人は、何をどうしていいか? わかりません。それを、「手は膝において」「お口を閉じて」と具体的に指示してあげると、理解しやすくなるというわけです。
その他、発達障害者の一部の人には、認知行動療法を使って、認知の偏りを修正し、不安や怒りといった感情をコントロールし、適切な行動を学ばせることが大切です。
次に、ペアレント・トレーニングは、親に発達障害者の特性と理解を促すとともに対応を教えていこうとするものです。
親が発達障害の特徴を個性として認め、「ユニークで可愛い」と受け止めることができれば、発達障害者の自己評価は高く保たれます。親が、自分の子どもを、無理に「普通の子ども」にしようと叱咤激励して育てると、自己評価の低い自信のない人に成長してしまう可能性が高いので注意したいところです。
ちなみに私(竹内成彦)は、「発達障害」と言うと、大変に欠落したというイメージを持ちやすいので、これからは「発達アンバランス症候群」と言い換えたいと常々思っています。
続いて、発達障害者とのつきあいかたですが、
発達障害者の行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「危険な行動や許しがたい行動」の3種類に分けます。好ましい行動に対しては、肯定的な注目を与えることが重要です。そして、好ましくない行動に対しては、上手に無視することが、これまた重要です。また、障害者に指示を出して協力を増やす。好ましくない行動に制限を設ける。タイムアウト(時間が来たら、その時点で中止)などをやってみるのも良いでしょう。
続いて、発達障害者を抱える家族に対しては、「積極的に、職場や学校や幼稚園・保育園と連携を取るようにしていって下さい」とお伝えしたいと思います。
続いて、発達障害者の良い行動とは、人より優れた行動ではなく適応行動であるということを忘れないようにしていってください。さらに、発達障害者の周囲の人は、発達障害者を褒めることに集中するようにしてください。そう、発達障害者には、褒めることが何よりも大切なのです。
明日は、「発達障害者本人は、何に気をつけて生きていったらいいか?」についてお話ししたいと思います。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。