Yahoo!ニュース

若手実力者・八代弥七段(27)竜王戦ベスト4進出! 振り飛車党のカリスマ・久保利明九段(45)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月21日。大阪・関西将棋会館において第34期竜王戦本戦▲八代弥七段(2組2位)-△久保利明九段(1組2位)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 10時に始まった対局は22時37分に終了。結果は127手で八代七段の勝ちとなりました。

 竜王戦本戦初出場の八代七段はベスト4に進出。8月6日におこなわれる準決勝では藤井聡太二冠(19)と対戦します。2組決勝カードの再現です。

八代七段、竜王戦ドリームの途上

 久保九段は本戦進出13回目の常連です。

 今期ランキング戦は1組2位でした。

 八代七段は本戦初戦、同世代の三枚堂達也七段(3組優勝)と対戦しました。

 ▲八代-△三枚堂戦は矢倉で後手の三枚堂七段が急戦に出ます。まずリードを奪ったのは三枚堂七段でしたが、八代七段は辛抱を重ねて挽回。最後は103手で八代七段が勝っています。

八代七段、終盤の寄せ合いを制す

 久保九段と八代七段は2019年、棋聖戦本戦2回戦で対局。そのときは久保九段が勝っています。

 本局は振り駒の結果、先手は八代七段。序盤の駆け引きの末、後手の久保九段は四間飛車に振りました。

 対して八代七段は素早く銀を繰り出し、急戦に出ました。八代七段が久保陣に銀を成り込む戦果をあげる一方、久保九段は軽やかに飛車をさばきます。

 難しい中盤戦が続き、形勢はほぼ互角のまま終盤戦に入ります。互いに相手の本陣を寄せ合うスピード勝負。きわどいところで形勢は何度も揺れ動きました。

 最後にスリリングな攻防を制したのは八代七段でした。八代玉は中段へと追われながらも寄らない形。最後は豊富な持ち駒を打って王手を続け、きれいに久保玉を詰ませました。

 八代七段はこれでベスト4に進出。またもや藤井二冠と当たります。またもや大変な注目を集める一局になることは間違いありません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事