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お金をもらいながら真の料理上手になる方法。個人経営の繁盛店でアルバイトすべし

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:アルバイト 時給上昇(日本経済新聞)

料理上手な人はカッコいい。といっても、時間と金をふんだんに使ってレシピ通りの「ハレ」の料理を作って終わり、という人ではない。もらいものや冷蔵庫に入っている食材を組み合わせて、おいしくて気の利いた(酒に合う)家庭料理を何品も作れる人のことだ。

食べさせる人数が急に増えてもテンパらず、食卓で飲んでいる客と適当に話をしながら、片づけもしつつ、ほどよいタイミングで料理を出してくれる。どんな料理を作るのかをあらかじめカッチリと決めたりはしていないので、多すぎたり少なすぎたりすることはない。自由自在、無尽蔵につまみを作って出せる。おかげで「家飲み」が数倍も楽しくなる。

僕の周りにも5人ほどそんな料理上手(全員が仕事のできる女性である)がいる。彼女たちに共通するのは、若い頃にマニュアルのない個人経営の飲食店でアルバイトをしていたことだ。

マニュアルがない店では、一人ひとりが店の状況を見て、いま自分がやれることやるべきことを判断して実行しなければならない。当然、新人は「即戦力」にならず、先輩や常連客に叱られながら仕事に必要な判断力と体の動かし方を体得していくことになる。

大家族で育った人はアルバイト以前に料理上手になっている場合もある。行きつけのアジア料理店で抜群に動きがいいアルバイトの女性がいる。彼女は九州出身で「うちは本家なので大変。親戚の集まりがあると娘の私は座っていられない。男の人は何もしないし…」とぼやく。しかし、食事における気働き立ち働きという観点から見ると、彼女は素晴らしい英才教育を受けていたことになる。

今朝の日経新聞によると、三大都市圏におけるパート・アルバイトの時給は上昇を続けている。首都圏の平均時給は985円になり、1000円台に近づいた。特に求人全体の3割強を占める飲食業関連の時給が1.2%も上昇したことが大きいらしい。

背景には景気回復に伴う外食店の来客数増があるという。アルバイトの需要は増加する一方で、学生は拘束時間の長い飲食店での長期バイトを敬遠する傾向があり、各社で人材の取り合いになっているようだ。

アルバイト代で生活している人が「少しでも高い時給の店で働きたい」と考えるのは当然だ。しかし、大半の学生にとっては小遣い稼ぎをしつつ料理上手になれるチャンスである。100円200円の時給の差にとらわれず、質が高くて繁盛している個人経営の飲食店で働いてみてほしい(アルバイトを募集してなくてもオーナー店長に直談判すれば悪いようにはされないはずだ)。

運良く採用されたら、スタッフの入れ替わりが激しいチェーン店などと違って、あらゆる業務に秀でたベテランたちに厳しくしつけられることだろう。作って出したまかない飯を酷評されるかもしれない。その店に通っている粋な常連客たちから「大人の遊び方」を学ぶこともあるはずだ。

1年も働き続けることができれば、きっと料理上手になっている。使えない資格などとは比べものにならない一生もののスキルだ。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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