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エンジェルスは、大谷翔平の退団で得たドラフト指名権を使い、どんな選手を指名したのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、ウィル・スミス、大谷翔平、ミゲル・ロハス May 19, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨オフ、ロサンゼルス・エンジェルスは、FAになった大谷翔平に、クオリファイング・オファーを申し出た。

 これは、それまで在籍していたその選手を保有していた球団が提示できる、1年間の再契約だ。金額は、年俸上位125人の平均。昨オフの金額は、2032万5000ドルだった。

 大谷は、クオリファイング・オファーを受け入れず、その後、ロサンゼルス・ドジャースに入団した。これにより、エンジェルスは、ドラフト指名権を得た。2巡目と3巡目の間だ。その時点で確定していなかった順位は、全体74位となった。

 今年のドラフトで、エンジェルスは、テネシー大のクリスチャン・ムーアとテキサスA&M大のクリス・コーテズ――全体8位と全体45位――に続き、全体74位に、ダラス・バプティスト大のライアン・ジョンソンを指名した。ムーアは二塁手、コーテズとジョンソンは右投手だ。

 身長6フィート6インチのジョンソンは、テイクバックの小さいフォームから、速球、スライダー、カッターを投げる。MLBパイプラインなどによると、速球は100マイルに達するという。

 2022年は58.2イニングで防御率4.30、2023年は87.1イニングで防御率4.43、2024年は106.0イニングで防御率2.21。各シーズンの与四球率は3.38→2.27→1.19と下がり、奪三振率は7.21→11.95→12.82と上がっている。高校から大学へ進んだ時は、ドラフトで指名されていない。

 ちなみに、ダラス・バプティスト大のプロフィールには、好きな聖書の一節はルカによる福音書の第9章23節、と記してある。

 また、ジョンソンの兄であるM.D.ジョンソン(マイアミ・マーリンズ)は、2019年のドラフト6巡目・全体171位だ。まだメジャーデビューはしておらず、現在はAAにいる。こちらも右投手で、ダラス・バプティスト大からプロ入りした。大学最終年のスタッツ(2019年)を、弟のそれ(2024年)と比べると、防御率、与四球率、奪三振率のいずれも、弟が優れている。

 なお、過去には、こんな例もある。2015年のオフにドジャースからFAになったザック・グレインキーは、申し出られたクオリファイング・オファーを受け入れず、その後、アリゾナ・ダイヤモンドバックスと契約を交わした。それに伴い、ドジャースは、1巡目と2巡目の間に、全体32位の指名権を得た。翌年のドラフトで、ドジャースが全体32位に指名したのは、ルイビル大のウィル・スミスだ。現在、スミスは、ドジャースの正捕手としてプレーしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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