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春一番が吹いても吹かなくても寒暖差の大きな春の気温へ

饒村曜気象予報士
桜の花びら(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

低気圧の持ち込んだ暖気

 2月19日の西日本は、九州北部付近にあった低気圧に向かって南から強い風が吹き、九州北部と四国地方では春一番が吹きました。

 立春の2月4日に北陸地方に春一番が吹いて以来の春一番です。

 九州北部と四国地方で春一番を吹かせた低気圧は、日本海に入って発達することがなかったので、東日本などでは強い南風が吹かず、春一番にはなりませんでした。

 しかし、この低気圧は、日本列島を通過しながら暖気を持ち込み、それほど発達しなかったため、低気圧の通過後に北からの寒気を南下させませんでした。

図1 地上天気図と衛星画像(2月20日12時)
図1 地上天気図と衛星画像(2月20日12時)

 加えて、低気圧に伴う雨も早めに上がり、日射が加わったことで、ほぼ全国的に気温が上昇し、特に関東地方では10度前後も平年より高くなりました(図1)。

 東京の最高気温は19.5度と桜の季節を超えて、葉桜の季節の気温となりました。

 東京では春一番は吹いていませんが、ほんの5日前の2月15日は、最高気温5.3度、最低気温0.0度という真冬の季節から、春の気温へと一気に昇温しました。

天気は周期変化へ

 北日本を中心として西高東低の冬型の気圧配置が続いていましたが、ここへきて、低気圧と高気圧が交互に通過する気圧配置に変わってきました。

 週末には、次の低気圧が通過し、ほぼ全国的に雨になりそうです(図2)。

図2 予想天気図(2月22日21時の予想)
図2 予想天気図(2月22日21時の予想)

 そして、来週初めも次の低気圧が日本の南海上を通過しそうです。

 来週初めの低気圧については、日本の南海上をどれくらい離れて通過するのか、不確実性が大きいので、離れて通過すれば曇り、接近して通過すれば雨となります。

 いずれにしても、全国的に天気は周期変化に変わりました(図3)。

図3 全国の10日間予報
図3 全国の10日間予報

春一番が吹かなくても

 低気圧が日本海に入って発達することはしばらくなさそうで、関東甲信地方の春一番は、もう少し先になりそうです。

 しかし、低気圧と高気圧が交互に通過し気温が上昇します。

 暖かくなったり寒くなったりしますが、寒くなったとしても、春の寒さです。

 東京は、週末には寒気が入ってきて気温が下がりますが、ただ、下がったといっても平年並みです(図4)。

図4 東京の2月の最高気温と最低気温の推移
図4 東京の2月の最高気温と最低気温の推移

 春の寒さは、気温自体は冬の寒さに比べれば暖かいのですが、寒暖差が大きい中での寒さです。

 体調管理には、冬以上に注意が必要な寒さです。

図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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