2023年、フードライターの食から読み解く「外食」に何が起きていたか【1~3月】
2023年を振り返ってみると、2019年以来の大手を振っての移動の多い1年でした。2023年の社会の世情とフードライターを仕事としている僕が口にした1000食以上(うち外食700食以上)の食事動向を照らし合わせながら、この1年「食」に何が起きていたかを振り返ってみたいと思います。
【1月】新型コロナ5月8日に5類引き下げ決定(27日)
前年の2022年にも何度も「アフターコロナ」が期待されるような動きが何度かありました。2022年12月の外食産業の全体売上は回復基調に乗ったものの、年末にも大人数での忘年会は行われず、少人数の忘年会も早い時間に帰宅する客が目立つなど、店内飲食は振るわないまま。
しかし年明け、5類引き下げの動きが具体化し、人々の移動も徐々に活発になっていきました。僕自身の食生活も符合するように、外食比率が増えていきました。
それでも元旦は少しのおせちの後は、名精肉店「サカエヤ」の近江牛ですき焼き。翌日は年末に作っておいた自家製チャーシューとメンマを冷蔵庫から取り出して、セブンイレブンが発売していた飯田商店監修の金の醤油らぁ麺を自炊します。税込494円と一食分の冷凍麺としては高いことは高いのですが、とてもよくできた満足度の高い一品でした。冷食の進化は、コロナ禍がもたらした数少ないポジティブな面と言えると思います。
3が日が明けると人との会合が増えていきます。
上旬には年末開催ができなかった忘年会の代わりに新年会がいくつか。下町の名店、新店のご招待を兼ねた会、SNSへの書き込みNGという焼鳥店などで新年会が開かれました。
地方への移動も加速します。上旬に一度京都へ行って「ニシトミヤ」のコロッケとカルダモンロールをぱくつき、中旬にも京都で京都中華のスタンダード「鳳舞楼」と、京都で話題を席巻する食事と酒が充実している「てらやま」へ。
昔、四条烏丸にあった「桜田」(現在お弟子さんの「和ごころいずみ」がある場所)もそうでしたが、京都に根ざす店は高価格帯の店ばかりではありません。ふつうの人のふつうの暮らしのなかにおさまる和食店もたくさんあるのです。
あわせて滋賀のサカエヤと併設レストラン「セジール」にも年始のあいさつがてら、食事と肉の買い出しに伺いました。
2023年は転機を迎える飲食店も多くなりました。もはや新規の予約はおろか、常連さえも予約が取れなくなりつつあった「メゼババ」が亀戸での営業を1月末をもって終了することに。ありがたいことに人様の予約で最終日イブにカウンターに座らせていただき、翌日も友人の貸し切りだったので写真係として潜り込ませてもらいました。
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