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過去3年に借金100の監督が延長契約を手にする。今シーズンは好発進

宇根夏樹ベースボール・ライター
デレク・シェルトン(ピッツバーグ・パイレーツ)Apr 19, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2019年のオフ、それまでミネソタ・ツインズでベンチ・コーチを務めていたデレク・シェルトンは、ピッツバーグ・パイレーツの監督に就任した。2020~23年の4年契約だ。その前に、メジャーリーグで監督を務めたことはなかった。

 シェルトン監督の下、パイレーツは、3シーズンとも大きく負け越した。2020年が19勝41敗(勝率.317)、2021年が61勝101敗(勝率.377)、2022年は62勝100敗(勝率.383)だ。合計すると142勝242敗。白星と比べ、黒星のほうが100も多い。

 今シーズン、パイレーツは、開幕から21試合で14勝を挙げた。そして、シェルトンは、延長契約を手にした。MLB.comのジャスティス・デロス・サントスらによると、4月22日の試合前に、ベン・チェリントンGMが発表したという。契約の期間と金額は、明らかになっていない。

 これまでの勝敗は、再建期ゆえ、監督の評価にはつながらないということだろう。2016年以降の7シーズン中、パイレーツが勝ち越したのは2018年の1度きり。それも、82勝79敗(勝率.509)の地区4位に過ぎなかった。

 一方、今シーズンの好発進だけが契約延長の理由とも思えない。4月22日も白星を挙げ、17日からの連勝を6に伸ばして15勝7敗としたが、サンプル数としてはあまりにも少なすぎる。今後も勝ち進めるかどうかは、まだわからない。

 チェリントンGMとしては、数年をかけ、監督としてのシェルトンを見極め、ポストシーズン進出をめざすにあたっても、采配を任せるに値すると判断したと思われる。当初の目論みどおり、と見ることもできよう。チェリントンは、自身がGMに就任した直後に、シェルトンを招聘した。

 今後、シェルトンは、結果を問われることになるはずだ。今シーズンの場合、ポストシーズンにたどり着けなければ解任、とまではいかないだろう。まだ、勝つために十分なメンバーが揃ったとは言い難い。また、若手のオニール・クルーズは、4月9日に左足首を骨折し、復帰は早くても後半戦になる。けれども、ここから一転し、負けが込むようであれば、話は別だ。契約期間中であっても、その座を追われる監督は珍しくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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