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KAN 亡くなってからのサブスク音楽解禁の意味は?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:YouTubeMusic

KNNポール神田です。

KANさんのストリーミング解禁にエールを贈りたいと思います。
できることならば、生前にもっとみなさんに聞いていただきたかった…。

KAN iTunes
https://music.apple.com/jp/artist/kan/193503514

KAN YouTube Music
https://music.youtube.com/channel/UCSylVuUY-dqbINq-KBZmjKA

公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCB-MAg09TKnDv7shND16ghg


■61歳で死去したKANさんの『愛は勝つ』サブスク解禁 過去の未配信楽曲も年内に順次解禁

2023年11月12日に61歳で亡くなった歌手のKANさんの楽曲がサブスク解禁されることが20日、分かった。また、ポリドール、マーキュリー時代の未配信楽曲も解禁となる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6fa2a5c42cf7a1b802d2d4d93d68da682ce7dec

メジャーなストリーミングサービスでKANの楽曲を聞くことができ、故人を偲ぶことができるようになった。


KANがストリーミング配信を開始したのはつい最近の2023年11月3日からだった。 #ヨロシクサブシュク



2023年11月3日(金)
サブスクについて
「よくわかってないこともあってか、なんとな~くのままになっていた」というKAN。

□フランス・パリからの帰国後、2006年から2020年にかけて発表したシングル6作、アルバム4作、ベストアルバム「IDEAS ~the very best of KAN~」、セルフカバーアルバム2作、ライブアルバム2作に加えて、ジョン・B、菅原龍平、ヨースケ@HOMEとのアコースティックユニットCabrellsのシングル「Chu Chu Chu」のサブスク配信を解禁した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b421619044db73312b75db39540fd17500322ca


このリリースの10日後 2023年11月12日(日)に61歳で永眠

2023年3月には、2万人に一人の『メッケル憩室がん』を患っていることを公表
していた。

出典:木村KAN公式サイト
出典:木村KAN公式サイト

https://www.kimurakan.com/kanban/113.php

2023年11月7日

最後のX.comへのpostは、大好きだったThe Beatlesについてだった…。

https://twitter.com/_kimuraKAN/status/1721676818594607424

書き尽くせないほどの想いとともに、ジョン・レノンとジョージ・ハリスンの元へ旅立たれたことでしょう。ポールやリンゴよりも先に…。


■音楽サブスクの問題点は、CDよりも安い印税

出典:AVWatch
出典:AVWatch

https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1483891.html

ストリーミングの場合、1曲当たりの印税がCD販売よりも低い。

さらに、聴取回数に応じて印税が発生するモデルである。

SpotifyやApple Musicなど主要サービスの場合、1回の聴取につきアーティストやレーベル全体への支払いは推定0.3〜0.5円程度といわれている。

100万回再生されると、30〜50万円となる。

そして、CD販売の場合、販売個数に応じて印税が発生する。印税率はCD1枚当たりの価格の10〜15%程度。CD1枚売れるごとにアーティストやレーベルへの印税支払いが発生する。

CDシングルが1,000円とすると、1枚あたり100〜150円  アルバム3,000円だと、300〜450円が、印税としてレコード会社などに入り、アーティストは契約に応じた分配をもらう。

シングルが100万枚のミリオンセラーで売れると、1億円〜1.5億円からの印税分配となる。アルバムがミリオンだと、3億〜4.5億円となる。

圧倒的にCDの方が印税は多かった。しかし、現在サブスクが圧倒的な音楽業界においては、フィジカルなCDのミリオンセラーがほとんど生まれづらい状況にある。問題は音楽産業全体の市場も横ばいシュリンクしていることだ。

出典:AVWatch
出典:AVWatch

アーティストらが30万円の印税を得るのに100万回再生が必要であり、CDシングルだと3000枚、CDアルバムだと、1,000枚が必要だ。

サブスク登録に関する損益分岐点はCDシングル3,000枚 CDアルバム1000枚程度とも言えるのではないだろうか?


■2022年のセールス結果 オリコン年間ランキング


ちなみに、日本国内で100万枚を超えたシングルは、2022年1位はKing & Prince『ツキヨミ/彩り』のみで107.5万枚だった。
アルバムでは1位Snow Man 『Snow Labo. S2』で98万枚。ユーミンの50周年記念ベストでも8位で38万枚だった。山下達郎の『SOFTLY』で26万枚というセールスだ。
デジタルシングルは、1位のAimer『残響散歌』で40万ダウンロード
デジタルアルバムとなると、1位のAdo『ウタの歌』でも10万ダウンロード
ストリーミングランキング1位がTani Yuuki『W/X/Y』が3.1億再生回数だった。 

そう考えると、サブスクを含めても音楽業界全体が、耳目を他のメディアに奪われていることが理解できる。

山下達郎氏らのサブスクを否定するのではないが、自分では絶対にやらないというアーティストから、安室奈美恵氏らのサブスクから撤退というアーティストもいる。

KANさんのように自分の作品を、おそらく、遺族のために、死後はサブスクに委ねるという判断もわかるような気がしてきた…。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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