北朝鮮がICBM用の固体燃料ロケットモーター燃焼試験を実施
12月16日、北朝鮮は推力140tfの固体燃料ロケットモーター地上噴射試験を成功させたと発表しました。前日の12月15日午前に西部の平安北道鉄山郡の東倉里にある西海衛星発射センターで実施しています。
これは固体燃料式ICBMの第1段目に相当する推力です。実験は最近になって新しく建設された固体燃料ロケットモーター用の水平設置式の燃焼試験台で行われています。
固体燃料式ICBMは通常3段式です。その第1段として推力140tfはやや大きいですが、移動発射機に搭載可能な大きさと重量に収まる範囲です。(参考例ではロシアの車載移動式ICBM「トーポリM」の第1段が推力100tf。)
今回の声明文で実験は「推力ベクトル操縦技術を導入した大出力固体燃料モーターの全ての技術的特性を確証することを目的として進められた」という記述がありました。単純な燃焼試験だけでなく、推力ベクトル制御に関連した技術の試験も実施されていたようです。ただし外観を見る限り、ノズルを動かせるような制御機構が見当たりません。
비력적=比力積=比推力
なお今回の声明文では「비력적」という初めて見る単語がありました。朝鮮中央通信の日本語版で確認すると「非力積」という更に謎の単語が掲載されています。そこで他の言語版で比較すると、英語版・露語版・中国語版を確認する限り、これは日本語では「比推力」の意味だろうと推定できます。
朝鮮中央通信:各国言語版
- 北朝鮮:비력적
- 英語 :specific impulse
- 露語 :удельный импульс
- 中国語:比冲量
- 日本語:非力積 ※おそらく翻訳ミス
韓国語では比推力は「비추력」なので、北朝鮮と韓国では比推力について使用している単語が違うということになります。
また朝鮮中央通信の日本語版の「非力積」はおそらく翻訳ミスで、正しくは「比力積」と書くつもりだったのだろうと思われます。
比推力:北朝鮮と韓国の技術用語
- 北朝鮮:비력적(日本語に直訳だと「比力積」)
- 韓国語:비추력(日本語に直訳だと「比推力」)
比推力という技術用語の意味を考えると、比力積という書き方でも意味は同じです。
力積 - Wikipedia ※英語: impulse
比推力:各国言語を直訳した場合
- 北朝鮮:비력적(比力積)
- 英語 :specific impulse(特定の力積)
- 露語 :удельный импульс(特定の力積)
- 中国語:比冲量(比衝量)
- 韓国語:비추력(比推力)
- 日本語:比推力