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日本と韓国の首都に台風が接近(ソウルに台風13号、東京に台風15号)

饒村曜気象予報士
気象衛星から見た台風13号と台風15号(9月5日15時00分)

 日本と韓国の首都に台風が接近中です。

 ソウルに台風13号、東京に台風15号です。

台風13号が朝鮮半島に

 フィリピンの東海上で発生し、非常に強い台風にまで発達した台風13号は、自転車なみの速度で沖縄県先島諸島の宮古島付近を通過して東シナ海に入りました。

 宮古島では、9月5日12時22分に最大瞬間風速・毎秒61.2メートルを観測し、大荒れとなりましたが、この風を時速になおすと、約220キロです。

 新幹線並みの記録的な風でした。

 この台風13号は東シナ海で加速し、7日には朝鮮半島の中・北部に上陸する見込みです(図1)。

図1 台風13号の進路予報(9月6日3時の予報)
図1 台風13号の進路予報(9月6日3時の予報)

 台風13号の進路予報は最新のものをお使いください

 首都のソウルや仁川国際空港がある朝鮮半島の中部は、めったに台風が襲来しないことから、台風に慣れておらず、大きな台風災害が懸念されます。

 仁川国際空港の3本の滑走路は、いずれも北北東から南南西に延びていますので、台風が接近するとめったに吹かない強い横風(東よりの風や西よりの風)が吹きます。このため、離着陸ができなくなって欠航が相次ぐことも考えられます。

台風13号の後続の雨雲

 東シナ海を北上中の台風13号は、中心部に小さくて丸い目があり、発達した台風であることを示しています。

 台風13号の目を取り囲む雨雲だけでなく、少し離れた東側と南東側、南西側に雨雲があります(図2)。

図2 気象衛星から見た台風13号の雲(9月6日2時40分)
図2 気象衛星から見た台風13号の雲(9月6日2時40分)

 この台風13号は、東日本を覆っている太平洋高気圧に東進を阻まれ、東シナ海を北上することから、日本への上陸の可能性は低くなりましたが、台風の東側と南東側、南西側にある雨雲が南西諸島や西日本に入ってきます。

 台風13号が通過した沖縄、台風13号が西海上を北上する西日本、ともに、大雨の心配があります(図3)。

図3 台風13号による雨と風の予想(9月7日15時の予想)
図3 台風13号による雨と風の予想(9月7日15時の予想)

 気象台の発表する最新の大雨情報等の入手に努め、引き続き警戒をお願いします。

ハワイの南海上が起源の台風15号

 南鳥島近海で、9月5日15時に台風15号が発生しましたが、もととなった雲の渦は、ハワイの南海上で発生したものです。

 このハワイの南海上が起源の雲の渦は、西進を続けて日付変更線を越え、南鳥島近海で熱帯低気圧となり、台風15号にまで発達しました。

 そして、台風15号はさらに発達し、小笠原諸島近海で暴風域(風速が25メートル以上の範囲)を持つまでに発達し、東海から関東地方にかなり接近、あるいは上陸する可能性もあります(図4)。

図4 台風15号の進路予報(9月6日3時の予報)
図4 台風15号の進路予報(9月6日3時の予報)

 台風15号の進路予報は最新のものをお使いください

 台風15号が上陸したとなると、令和元年4個目の上陸台風ということになります。

 また、台風15号により風速25メートル以上の暴風域に入る確率は関東から東海地方で30パーセントを超え、10日3時までの96時間に暴風域に入る確率は30%を超えています。

 東京23区西部でも、9月9日3時から6時確率が一番高く、この時間帯に台風15号の最接近が予想されています(図5)。

図5 台風15号により東京都23区西部が暴風域に入る確率(9月6日3時の予報)
図5 台風15号により東京都23区西部が暴風域に入る確率(9月6日3時の予報)

 今後の台風15号の予報に注意してください。

熱帯低気圧地区特別気象センター

 気象庁予報課には、平成元年(1989年)に、世界気象機関(WMO)のもと、東アジア諸国を対象とした気象解析や予報資料の作成・提供の役割を担うため、太平洋台風センター(現在のアジア太平洋気象防災センター)が設置されています。

 また、解析や予報結果の提供のほかに、域内各国の気象機関の人材育成のための研修や、台風の調査・研究を支援するために台風解析や予報検証結果などの情報も提供しています。

 気象庁は、熱帯低気圧地区特別気象センター(RSMC Tokyo- Typhoon Center)の役割をし、アジア各国の台風防災に貢献しています。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供の図に加筆。

図1、図4、図5の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

【追記(9月6日21時)】本記事のタイトルと導入部分を、より適切なものに訂正しました。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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