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平成になってから増えてきた超熱帯夜

饒村曜気象予報士
寝苦しそうなミドル女性(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

各地で熱帯夜

 令和2年(2020年)8月15日は、東日本の太平洋側から西日本にかけて、太平洋高気圧に覆われて晴れたため、強い日射によって気温が急上昇しました。

 アメダスで気温を観測している920地点のうちの656地点(71パーセント)が真夏日(最高気温が30度以上の日)となりました。

 また、猛暑日(最高気温が35度以上の日)となったのも、278地点(30パーセント)ありました。

 この暑さは、夜になってもおさまらず、16日の朝までの最低気温が25度を上回る熱帯夜のところが多くなりました。

 気象庁の統計で熱帯夜というものなく、それに相当するものは、日最低気温が25度以上の日です。

 多くの日は、夜明けの少し前に最低気温を観測しますが、この場合は、一日の最低気温は夜の最低気温と同じです。

 事実上、一日の最低気温が25度以上の日が、熱帯夜(最低気温が25度以上の日)です。

静岡県・浜松で夜の最低気温31.1度

 令和2年(2020年)8月16日の静岡県・浜松は、5時13分に31.1度という夜の最低気温を観測しています。

 熱帯夜どころか、超熱帯夜(最低気温が30度以上の夜)です。

 超熱帯夜という言葉は、公式なものではありません。

 めったにない現象であるため、広く使われる言葉でもありません。

 浜松の16日の最高気温は39度ですので、日付けが変わるまで気温が30度を上まわっていれば、8月16日の最低気温は30度超えとなります(図1)。

図1 浜松の気温変化(8月15日から16日)
図1 浜松の気温変化(8月15日から16日)

 令和2年(2020年)8月11日の大阪府・大阪は、朝の最低気温が30度でしたが、日が沈んだ19時過ぎに29.7度を観測し、最低気温の30度越にはなりませんでした。

 それでも、約30度と、熱中症を引き起こす気温です。

【追記(8月17日3時)】

 8月16日の浜松は、最高気温が40.2度まで上昇したものの、夕方以降は気温が順調に下がり、21時過ぎには30度を切り、超熱帯夜にはなりませんでした。

 最低気温は日堺の24時で、29.0度でした。

最低気温が30度以上の日

 気象庁の観測で、一日の最低気温が30度以上の日は11回あります。

 東京・福岡といった都市化が進んでいる大都市や、フェーン現象で気温が上昇しやすい新潟県などの北陸地方の観測ですが、いずれも、平成以降です(表)

表 日最低気温が30度以上(超熱帯夜)の観測
表 日最低気温が30度以上(超熱帯夜)の観測

 もし、該当する地点があると、12例目ですが、令和になって5例目となります。

 昭和が0例で、30年あった平成が7例に対し、2年しかない令和が早くも5例となり、近年の増加が目立ちます。

明日の最低気温

 8月16日は、東日本の太平洋側から西日本で最高気温が35度以上の猛暑日、場合によっては40度位まで気温が上昇する厳しい暑さになる見込みです。

 お盆休みの最終日となりますが、昼間の暑い時間帯は外出を極力避けた方が良さそうです。

 止むを得ず外出する場合は、水分や塩分をとったり、適度に涼しい屋内で休憩を取るなど、熱中症に十分な警戒が必要です。

 加えて、夜も気温があまり下がらず、各地で熱帯夜となる予報です(図2)。

図2 8月17日朝の予想最低気温
図2 8月17日朝の予想最低気温

 場合によっては、最低気温が30度以上という場所も想定されますので、夜間の熱中症対策も重要です。

 熱中症は昼間だけに発生するものではありません

 冷房をつけて寝るなど、夜の熱中症対策も必要です。

タイトル写真の出典:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート

図1の出典:ウェザーマップ資料に著者加筆。

図2の出典:ウェザーマップ提供。

表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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