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サンウルブズ松島幸太朗、驚異のハイボールキャッチ&初勝利導くプレーを語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
日本代表でも本職のフルバックとして活躍。(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦2年目のサンウルブズが4月8日、本拠地の東京・秩父宮ラグビー場で今季初白星を挙げた。第4節で屈した南アフリカのブルズを21-20で制した。

この日、初めてサンウルブズのジャージィを着た日本代表の松島幸太朗は、失点につながるミスもあったが最後尾のフルバックとして高質なパフォーマンスも披露する。

例えば、相手が蹴り上げたハイパントの捕球。相手としてはボールの再獲得から雪崩のような攻めを展開したい場面だが、松島は再三、高い打点でのキャッチでその流れを寸断した。片膝を高く上げて上空に手を伸ばすという、基本の形を保った。

圧巻だったのは、自分より9センチ、11キロも大きなバーガー・オデンダールと競った後半16分の1本。真正面から身体をぶつけながらボールキープし、着地と同時にほふく前進。結局は別な相手の防御で球を乱したが、3点差を追う接戦にあってファンを沸かせた。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ハイパントキャッチ。振り返ってください。

「練習では全然、捕れていなくて不安は残っていたんですけど、スイッチを入れて捕ることができた」

――スイッチ、とは。

「捕らないとミスが起きて、悪循環になる。捕りきる。できて、よかったです」

――チーム全体の動きで言えば、蹴った後のチェイスも機能していた。

「チェイスの練習はたくさん、やってきた。1人ひとりの役割は果たせた」

9点差を追う後半28分。グラウンド中盤左に展開された球を受け、一気にギアを入れる。大外にはウイングの福岡堅樹が待っていたが、松島はそのまま直進。巻き込まれた相手アウトサイドセンターのヤン・サーフォンテインは、悪質な反則をしたとみられ一時退場処分を受けた。

さらにビハインドを2点に縮めて迎えたラスト10分。松島は自陣22メートルエリア右からロングキックを放ち、蹴り合いを開始。幾度か球を往復したのち、敵陣10メートルエリアから一気にカウンターを仕掛ける。22メートル線付近まで駆け上がる。

ここからサンウルブズの面々は所定の立ち位置へ散り、連続攻撃を開始。間もなく相手選手がハイタックルの反則を犯し、34分、スタンドオフの田村優がペナルティーゴールで逆転したのだった。

決勝点を引き出すまでの過程を、松島は述懐する。

――機を見てのカウンター。

「キックゲームで前進すれば、チャンスが出てくると思っていた。そこを逃さない、というところですね」

2月中旬から約1か月間の休暇を取得。心身をリフレッシュさせると同時に、国内シーズンの途中から取り組んでいた筋量増加にも時間を割いた。そのため徹底マークに遭ったこの日も、直線的なコンタクトで着実にボールキープできた。

バージョンアップを続ける若き枢軸は、4月14日、クルセイダーズとの第8節でも先発する(ニュージーランド クライストチャーチ・AMIスタジアム)。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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