トップは東京都の81.3%、最下位県の約1.43倍…都道府県別スマートフォン利用率
今や加速度的に普及が進みつつあるスマートフォン。そのスマートフォンを使ってインターネットにアクセスをしている人は6歳以上の全員比で71.2%(2022年時点)との実情が、総務省が2023年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値から明らかにされている。それではその利用率は全国一様なのだろうか、それとも地域によって大きな差異が生じているのだろうか。今回は都道府県別のスマートフォンによるインターネット利用率の現状を確認する。
スマートフォンだけでなくデジタル系の新しい商品やサービスなどは全般的に、年齢階層別構成比率が、そのまま利用率に反映される事例が多い。つまり都市圏よりも地方ほど高齢層比率が高く、同層では年齢的な問題から、新商品・新サービスの利用率が低くなるため、必然的に「地方」=「高齢層多い」=「高齢層の利用率が低い新商品の、その地域全体としての利用率も低くなる」というものだ。
そこで今回は通信利用動向調査のデータを用い、都道府県別の「スマートフォンでインターネットを利用している人」の比率を算出し、地域別の利用率動向を調べることにする。次のグラフがその結果だが、全体では71.2%、最高値は東京都の81.3%、最低値は秋田県の56.7%。24.6%ポイント・約1.43倍もの差が出ている。
ざっと見ると千葉県・東京都・神奈川県などの関東圏、愛知県、滋賀県・京都府・大阪府などの近畿圏など、人口密集地帯・都市地域で高い値を示している。一方で、それ以外の地域のうち、人口が比較的少なめな都道府県では値が低く抑えられている雰囲気はある。
ただしもっとも低い秋田県でも56.7%と半数を超えている。ほんの数年前までは「未来の携帯電話」「持っている人は滅多に見ない」「電車内で操作していると羨望のまなざしを多方向から感じ取れる」状況だったスマートフォンの利用率とは考えられない値に違いない。
上記グラフは都道府県全体の動向を知るのには役立つが、上位陣・下位陣を探すのには少々難儀する。そこで並べ替えをして、上位・下位の地域をまとめたグラフを作成した。
最上位は東京都の81.3%。次いで千葉県の79.3%、奈良県の77.2%が続く。関東地域をはじめ、人口密集地帯(≒人口比率的に若年層が多い地域)が上位に名を連ねている。
一方で下位は秋田県の56.7%をはじめ、岩手県、山形県のような、比較的人口比率で高齢層が多い地域が名前を連ねている。スマートフォンの所有・利用は年齢属性との関係が深い(高齢層ほど利用率は低くなる傾向がある)ことを考えると、この動向は理解もできるものだ。
全国の値でも7割を超え、もっとも低い都道府県でも5割を超えている、スマートフォンによるインターネット利用率。この値が上昇を続けるに連れて、インターネット業界そのものはもちろんだが、周辺、関連する業界もまた、大きな変化に相対するに違いない。
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※通信利用動向調査
2022年分は2022年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万5968世帯(3万9557人)、2428企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。