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大波乱 星稜敗れる! 優勝争いは混とん

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツは6日目から2回戦に。星稜がまさかの敗退で、優勝争いは混とん(筆者撮影)

 星稜(石川)の奥川恭伸(3年)が圧巻の投球で履正社(大阪)から17三振を奪って幕を開けたセンバツ。誰の目にも、星稜が優勝戦線のトップに立ったと映ったはずだ。その星稜が、習志野(千葉)に1-3で屈し、まさかの2回戦敗退となった。

決め球甘かった奥川

 厳しい表情でインタビュー台に立った奥川は、「悔しいです」と第一声を絞り出した。この日は、直球がシュート回転し、決め球の変化球も精度を欠いた。「高めに浮いたところをとらえられた。勝負所で甘くいった。特に9回は、絶対に点をやらないと思っていたのに」とダメ押しになった9回の8番・兼子将太朗(3年)に浴びた一発を悔やんだ。林和成監督(43)は、「バッテリーはゲームをコントロールしていたし、出来は悪くなかった」とかばったが、「守りに集中できなかった」とも話した。

熱戦に水差す行為があった?

 林監督によると、「二塁走者が打者に球種を伝達していた」ようで、山瀬慎之助(3年=主将)がど真ん中の直球をパスボールしたのは、奥川がサインを出したり、複雑なサインにしていたためだという。途中、審判団が集まったが、試合はそのまま進行した。この件に関しては、証拠がないため言及しないが、熱戦に水を差したことは確かだ。奥川にしては多い失点(3点)だったのがそのためだったとしても、この試合の敗因は打てなかったことに尽きる。昨秋からの課題を克服できなかった。林監督は、「どんな投手からも5点は取れる打線にしないと」と夏に向けての課題を口にした。奥川は、「この悔しい思いをバネにして、夏に帰ってきたい」と言い切った。今大会は、履正社と星稜がつぶし合い、勝った星稜も次戦で消える大波乱の様相となった。

2回戦に入って波乱の流れに

 6日目の智弁和歌山と熊本西で1回戦が終わり、優勝候補にも挙がっていた横浜(神奈川)が、明豊(大分)に逆転負けした以外は、ほぼ予想通りの勝ち上がり。それが、2回戦に入った途端、流れが大きく変わった。星稜敗退の直前には、高松商(香川)が、市和歌山に序盤からペースを握られ、あっさり逃げ切られた。このあとの2回戦も波乱の流れは続くのか。

2回戦の好カード展望

 残る2回戦から注目カードをピックアップする。まず明豊と、昨秋の神宮大会覇者・札幌大谷(北海道)の対戦。大谷はエース・西原健太(3年)の甲子園初登板があるか。横浜の及川雅貴(3年)攻略で勢いづく明豊打線との力勝負は避けた方が賢明で、1回戦完投の太田流星(3年)との継投も考えられる。大谷は米子東(鳥取)戦で低調だった打線の状態が気になる。山梨学院と筑陽学園(福岡)は対照的な初戦だった。24安打24得点の山梨学院打線は絶好調で、筑陽の西雄大(3年)、西舘昂汰(3年)のダブルエースがどこまで耐えられるか。広陵(広島)と東邦(愛知)はハイレベルの戦いになりそう。東邦は投手陣に不安があるだけに、石川昂弥(3年=主将)や4番・熊田任洋(3年)の打棒に期待したい。啓新(福井)は、得意の継投パターンで桐蔭学園(神奈川)に快勝していて、勢いづいている。智弁和歌山もある程度の失点は避けられず、侮れない相手だ。

地の利生かしたい近畿勢

 星稜の敗退で、優勝争いは混とんとしてきた。広陵は投手を軸に安定した試合運びで、春に強い本領を発揮しそう。投手陣が安定している明石商(兵庫)や打線好調の智弁和歌山はチーム状態もよさそうで、龍谷大平安(京都)は、近畿大会同様、大舞台に合わせて調整してきた。近畿勢は、地元の優位性を生かしたい。

 

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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