【現役プロ心理カウンセラー】が語る、「私がもしも、ジャニー喜多川さんをカウンセリングしたら…」その1
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
私が、自己紹介などで、「性犯罪の加害者を援助しています」と述べると、驚かれることが少なくないです。それで、何かの聞き間違いかと思って、もう1度尋ねられたりすることが多いです。「援助しているのは、加害者ではなく被害者でしょう?」と。
いいえ。
私が援助しているのは、被害者ではなく加害者です。
性犯罪の被害者を援助している所は、警察を含め、各地にあります。
けれど、性犯罪の加害者を援助しているのは、数少ない…というのが実情です。
だから私は、昨日も今日も、そして明日も、性犯罪加害者の支援をしているのです。
私は世の中から、性犯罪を撲滅したいと強く思っています。
そのためには、性犯罪の被害者を援助しているだけでは不十分で、犯罪をする側=加害者を減らすことが大切だと思っているのです。
私のカウンセリングルームには、「痴漢がやめられない」という悩みでご来室される方が少なくないのですが、彼らに対して、罰則を与えるだけでは不十分です。それは、性犯罪の再犯率は高いという事実からも窺い知ることが出来ます。
彼ら、性犯罪を繰り返す人の悪癖を改善させるためには、
1.こころを改善させることが大切です。
2.環境を改善させることが大切です。
3.脳を改善させることが大切です。
性犯罪を繰り返す彼らの性嗜好異常は、本人の深い反省や、周囲の説教や説得、罰則などで治るような、そんなヤワなものじゃないです。
詳しくはわかりませんが、ジャニー喜多川さんは、ゲイ(男性同性愛者)であり、小児性愛者だったと思われます。声を大にして言いたいのですが、ゲイであることが悪いことではありませんし、小児性愛者自体が悪いことではありません。彼が良くないのは、性的虐待をしたという事実です。
私は、もしもジャニー喜多川さんが私のカウンセリングルームを訪ねてきたら、まずは「こころ」を改善するよう努めると思います。
ジャニー喜多川さんの言い分にしっかり耳を傾け、その上で、「あなたのやっていることは良くないことなんだよ」と諭すと思います。この「しっかり耳を傾ける」ということが非常に重要です。ジャニー喜多川さんに温かい関心を寄せながら、彼に、彼がやったことを洗いざらい話させるのです。
これは簡単なようで簡単ではなく、一般の方や素人の方には、決してマネ出来ないことだと思います。何故なら、一般の方や素人の方は、どうしても話を聴いている最中に、余分な説教を垂れたり、自分の意見を言ったり、批判的な目でジャニー喜多川さんを見てしまうからです。
それでは、ジャニー喜多川さんの心を開くことは出来ません。どこまでもどこまでもジャニー喜多川さんに温かい関心を寄せながら、彼の話に耳を傾けなければなりません。その上で、その上でもって、「あなたのやっていることは良くないことなんだよ」と諭すのです。
痴漢をする人もそうですが、彼ら性犯罪をやっている加害者は、「自分がやっていることは良くないことだ」と薄々は知っていますが、本気で「良くないことだ」とは思っていません。そう、「相手も喜んでいる」と思っている人は、少なからずいるのです。
私は、長年、性犯罪を繰り返しているクライアントの話を聴いてきましたが、真顔で「触られている女性も喜んでいる」と言った痴漢常習者は少なくないです。
私が「いえ、相手は嫌がっていますよ」と伝えても、「いや、そりゃ中には嫌がっている人もいるかもしれないけれど、大半の女性は喜んでいますよ。僕は、そういう人を選んで触っているんです。前回は、警察に捕まってしまったけれど、それは、たまたま、運悪く、触られたくない人を誤って触ってしまっただけであり、普段は触られたくない人を触ったりはしないんですよ」と言うのです。
さらに彼らは言います。「もしも触られたくないのなら、あんなエロい格好をする筈がないじゃないですかぁ。それに、触ったらよける筈です。僕はエロい格好をして、触ってもよけない女性だけを選んで、触っているのですよ」と。
私は、ポリヴェーガル理論まで持って来て、さらに時間をかけて丁寧に説明をし、痴漢常習者を説得します。「女性が、よけようともしないのは、凍りつき反応を起こしているだけであり、触られて喜んでいるわけではないのですよ」と…。ここまで言うと、多くの痴漢常習者は、渋々というか、半分ぐらいは納得するようです。
私は、ジャニー喜多川さんは、「ジュニアたちは、『嫌だ嫌だ』と言いながら、半分は喜んで、僕のする行為を受け入れている」と、誤解していたのではないかと思います。
その誤解を解くのは、カウンセラーの仕事です。
カウンセラーは、ジャニー喜多川さんの話をよくよく聴いた上で、「あなたは間違っている。あなたのしていることは良くないことであり、ジュニアたちは、大変に心傷ついている」と諭すのです。
そうすることによって、ジャニー喜多川さんは、初めて、「もうやめよう」と思うと思います。「自分の性癖を治そう」と、本気で思うと思います。
ここまでが第一弾。こころの改善です。
残念ながら、ここまでやっても性嗜好異常は、治りません。
そう、「こころ」を改善するだけでは、性嗜好異常は治らないのです。
次にやることは、環境を改善し、脳を改善することです。
今日は、思いのほか長くなってしまったので、これで終わりにしたいと思います。
この続きは、また明日お話したいと思います。
最後に、ときおり、「竹内が、性犯罪の加害者を支援しているのは、自分が被害に遭ったことがないからだ。被害者の苦しみがわからないからだ。だから、そんな加害者を庇うような真似をしているんだ」と非難する方がいらっしゃるので言っておきますが、それは誤りです。
上記の私の言葉は、「意味深だなあ…」と捉えていただいて結構です。
私は今、63歳ですが、私が若かった頃は、男性の性被害なんて、何処も、そして誰も、まともに取り上げて、取り扱ってくれませでしたからね。今は、ホント、時代だなあ…と思います。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。