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夏こそフライパン料理 焦げずかんたんに「炭火焼」の味 鋳物(いもの)鉄がよい理由

とらべるじゃーな!穴場ずらし旅、愛好家

関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。

いよいよ8月。夏は冷や麦など冷たい料理も良いですが、スタミナがつく肉、餃子などの焼き料理も食が進みます。

そこで取り出すのがフライパン。しかし餃子を焼けば焦げだらけ、卵焼きの形は崩れ、粕(かす)づけの肉や魚は丸焦げに……となることはないでしょうか?

これは、コーティング(テフロン加工、ダイヤモンドコート等)されたフライパンが、経年劣化で焦げやすくなったケースが多いことが分かっています(味の素公式)。

ものづくりでは圧倒的に信頼できる燕三条

もしよいフライパンを探すなら、ぜひ知っておきたいのが、新潟県の燕三条。

燕市、三条市とも、鉄製品を中心としたものづくりで成り立つ町です。

ラーメン勝(まさる)は、株式会社カンダ製の鉄製品を使用
ラーメン勝(まさる)は、株式会社カンダ製の鉄製品を使用

名物の燕系背脂ラーメンの器にも、鉄製品が使われていました。

中が空洞で冷めず、手触りも軽さも抜群。このラーメン自体、工場で働く人のために開発されたもので、町全体がものづくりへのこだわりにあふれています。

三条には鉄製品づくりを体験できる鍛冶道場(公式サイト)もあり、金属加工の長い伝統が感じられます。

事業所が多く競争が激しい燕三条の鉄製品。作りが確実で、用途に応じた工夫に富み、総じて値段が安いことが特徴です。

三条市の鋳物フライパンを購入

燕三条に旅行したさい、物産センターで気になったのが、鋳物(いもの)鉄のフライパンです。

シンプルなデザインと、焦げ付きにくい細かなでこぼこがあるという点に惹かれました。

早速通販で購入。なお、ふるさと納税の返礼品としても入手できます。

使い始めは多めの油を加熱するだけ。くず野菜を炒めるなどは不要です。手入れは、ぬるま湯を流しながらたわしで洗うだけです。

※購入した商品 三条特殊鋳工所 鋳物フライパン 24cm ブルー

三条特殊鋳工所に工場見学の機会を提供頂きましたが、試供品、交通費等の提供は一切受けていません。本記事制作にあたってはYahoo!ガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

チーズカツレツが焦げつかず驚きの完成度!

購入直後に驚いたのは、写真のチーズポークカツレツの完成度。薄切り肉にパン粉をまぶして揚げ焼きする料理です。

スーパーに衣つきで売っている半調理品で、チーズ、衣と焦げそうな要素が満載ですが、バッチリの焦げ具合とジューシーさに仕上がり、旅先で食べ歩いた洋食店と同じ味!

洋食店の味は、火力や熟練の技の成せるものと思っていましたが、道具の違いも大きかったようです。

事前にリサーチしたように、鋳物(いもの)鉄は表面に見えないでこぼこがあるため、極めてこげづらいのが特徴です。

なぜ鋳物(いもの)のフライパンは焦げないの?

鋳物(いもの)とは、鉄の1種である鋳鉄(ちゅうてつ)を溶かし、土や砂でできた大小2つの鋳型(いがた)のすき間に流し込み、フライパンなどを作る古来からある製法。

土や砂の型で作るため表面には目に見えないでこぼこができ、焦げつかないフライパンができます。

例えば、薄いサンダルで真夏のアスファルトを歩けば熱いですが、下駄なら接地面が少ないので熱くないといったイメージです。

コーティングが劣化した古いフライパンでは10個作れば最低3つは失敗する餃子。

今回は、水や油のいらないといった焦げない工夫がある餃子ではなく、あえて粉をまぶしてある最安値の「もっとも焦げつきそうな餃子」をチョイスしました、トレーの段階で皮の一部が破れかけている最高難度の凶悪品?です。

まるで赤子の手をひねる様にあっけなく、焦げも破れもせず完成。

技術や慣れがなくても、最安値の餃子を、皮パリパリ、中ジューシーに仕上げられます。

古いフライパンでは、料理ごとに適度な火加減と焼き時間のベストな組み合わせを意識し、(焦げないように)フライパンを見張りっぱなしになっていました。一方、鋳物鉄の場合は、火加減は全て同じで構いませんし、ちょうどの焼き加減が長く続くため、誰でもおいしくできます。

焦げることがまずないので、洗い物をしたり、多少ガス台を離れたり(※事故にご注意ください)しても、失敗はないです。古いフライパンと比べストレスが格段に減り、フライパンの活用頻度は実に10倍くらいになりました。

粕漬けも失敗する方が難しく味も圧倒的

焦げやすいフライパンでは絶対に料理したくない粕(かす)漬けの魚や肉。おいしいことは分かっていますが、粕や味噌の部分が焦げやすいのです。

しかし鋳物鉄のフライパンでは、失敗するのが難しいほど簡単です。失敗するには、火加減を最強にし居眠りするしかないくらいです。

粕漬けのポークは、食べれば驚きの完成度。外がよく焼け中はジューシーで、豚肉のイメージが変わるほどです。

おいしく仕上がる理由は、鋳物鉄のフライパンは温度がほぼ一定であること。通常のフライパンは、食材を入れると急に温度が下がってしまいます。

鋳物鉄は、加熱時の立ち上がりがよく温度の維持が容易なため、待ち時間や温度管理のストレスがありません。でき上った料理はしばらくそのまま温かさや味をキープできますので、ほかの料理との時間的な段取りがアバウトでも大丈夫です。

卵焼きや炒飯も楽勝

卵焼きも楽勝。この程度の完成度なら、幼稚園児でも作れます。

舌触りもなめらかです。古いフライパンでは、途中であきらめてスクランブルエッグに変更していたのが嘘のよう。

ビジネスホテルの朝食で、調理師でない若手のスタッフが卵焼きを焼くサービスがあります。どうやって訓練するのか謎でしたが、秘密が分かりました。

難しいとされる炒飯も大楽勝。

失敗しないのはもはや当然で、コメの粒1つ1つの表面がカリっと中がしっとりと仕上がり、本当に自分が作ったの?となるはずです。

鋳物フライパンの工場を訪ねてみた

鋳物鉄について、もう少しわかることがあるかも知れないと思い、先日新潟県三条市の三条特殊鋳工所を訪ねてみました。通常、見学は団体のみです。

三条特殊鋳工所
所在地  新潟県三条市福島新田丁642
電話  0256-45-3155

鋳鉄(ちゅうてつ)を流し込む鋳型(いがた)のもととなる砂土(さど)です。

砂や土で作るため、鋳物は表面に見えないでこぼこができ、焦げにくくなります。

このでこぼこは、テフロン加工やダイヤモンドコート等のコーティングとは異なり、当然はがれることはなく、長く使えるフライパンができます。

かつて鋳物は、茶の湯の道具としてその「荒れ肌」が好まれ、千利休も愛用した歴史があると、ブラタモリで紹介されたことがあります。
【ブラタモリ栃木・佐野 全ロケ地】タモリさんが佐野のほしいモノを探る#241(とらべるじゃーな!)

ブロック状に固めた砂土をくり抜き、鋳型を作っています。

三条特殊鋳工所は、現在は砂土より優れた性質を持つ細かい化学素材を使用し、鋳物としては滑らかな手触りに改善されています。

いよいよ鋳型に鋳鉄(ちゅうてつ)を流し込む

いよいよ鋳型に鋳鉄(ちゅうてつ)を流し込む工程です。鋳型はいくつか積み重ねられ、横にずらりと並びます。鉄が熱いうちに、一気に流し込む算段です。

鋳鉄を溶かしています。

鋳鉄とは鋳物専用の鉄で、炭素を練り込み柔らかくしています。この炭素が調理の際に遠赤外線を出し、まさに炭火焼きの味となります。同じ鉄のフライパンでも、鋳物でない製品は、炭火焼きの味とはなりません。

鋳型に溶かした鋳鉄を流し込みます。

こちらが完成品。フライパン1つで、夏の食生活が一変するはず。料理店に近い味を自宅で楽しむことができます。

写真は、今回使用した三条特殊鋳工所 鋳物フライパン 24cm(9900円)。1~2名家族に最適です。チャーハンをひんぱんに作る場合26cmが良いです。

鋳物フライパン 26cm(11000円)は、3~4名家族向けです。鉄製品としては軽く、女性でも扱えます(公式サイト)。

直火、AHヒーター、オーブン対応です。

サイズ感の比較や、鋳物のホーロー鍋、キャンプ用品などは、個人サイトに掲載しました。

【燕三条】三条特殊鋳工所のフライパン、ホーロー鍋、キャンプ用品などの紹介(とらべるじゃーな!)

鋳物そのものに興味がわいた方は、ブラタモリが分かりやすいです。
【ブラタモリ栃木・佐野 全ロケ地】タモリさんが佐野のほしいモノを探る#241(とらべるじゃーな!)
燕三条に関心がわいた方には、下がおすすめ。
【ブラタモリ燕三条 全ロケ地】タモリさんが永遠の対決にジャッジ!#245(とらべるじゃーな!)

穴場ずらし旅、愛好家

宿泊歴500泊。関東周辺の穴場★ずらし旅スポットを紹介。日本テレビ(2023年)、TBSテレビ(2024年)に旅の専門家として登場。Yahoo!ニュースエキスパート公式旅行ライター(2023年7月企画賞)。JTB運営・地理旅行検定取得済み。東京都在住。

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