エースをトレードで放出した球団と序盤はエース不在の球団が、どちらも同じFAの投手に興味!?
シカゴ・ホワイトソックスとニューヨーク・ヤンキースは、どちらも、FAのマイケル・ロレンゼンに興味を持っているらしい。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールとニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンが、そう報じている。
ホワイトソックスは、先日、エースのディラン・シースをサンディエゴ・パドレスに放出した。昨夏のトレード市場でも売り手に回っていて、これらの動きからすると、今年ではなく来年以降のポストシーズン進出をめざしているように見える。
だとすると、ロレンゼンを加えるのは理屈に合わない気もする。シースがいなくなっても、勝つチャンスはあると考えているのだろうか。昨年のア・リーグ中地区は、87勝のミネソタ・ツインズが制し、ホワイトソックスを含む4チームは負け越した。ツインズ以外の地区優勝5チームは90勝以上を挙げ、ア・リーグ中地区以外の5地区は5チーム中3チーム以上が勝ち越した。
一方、ヤンキースでは、エースのゲリット・コールが右肘を痛めた。ヘイマンによると、手術は必要ではないものの、復帰まで10週間から12週間かかる見込みだという。こちらは、コールが戻ってくるまで、ローテーションの穴を埋める必要がある。
昨年、ヤンキースは、7年ぶりにポストシーズンへ進めなかった。12月にホアン・ソトをパドレスから獲得したことからわかるように、今年は巻き返しを図る。
とはいえ、FA市場に残る大物の先発投手、ブレイク・スネルとジョーダン・モンゴメリーのどちらかを迎え入れるには、大枚を要する。ロレンゼンであれば、年平均額は彼らの半額に満たないだろう。
昨年、スネルとモンゴメリーは、ともに180イニング以上を投げ、それぞれ、防御率2.25と防御率3.20を記録した。ロレンゼンは、153.0イニングで防御率4.18。シーズン終盤は、ブルペンに回された。ただ、夏のトレードでデトロイト・タイガースからフィラデルフィア・フィリーズへ移った時点では、105.2イニングで防御率3.58を記録していた。この防御率は、セントルイス・カーディナルスからテキサス・レンジャーズへ移籍した時点のモンゴメリーと近い。こちらは、防御率3.42だった。
また、シンシナティ・レッズ時代のロレンゼンは、主にリリーフ投手として投げていた。2015年にメジャーデビューした当初は先発投手だったが、翌年から2021年までは、基本的にブルペンからマウンドに上がった。そして、2022年にロサンゼルス・エンジェルスで先発投手に戻った。ヤンキースは、コールが戻ってきたらロレンゼンをローテーションから外してブルペンへ、というシナリオを描くことができる。
ロレンゼンでなく、こちらもFAのマイク・クレベンジャーでも、手に入れるのに必要な金額は、そう変わらないはずだ。昨年、クレベンジャーはホワイトソックスで投げ、131.1イニングで防御率3.77を記録した。けれども、2018年以降の108登板中、リリーフ登板は1度しかない。