月着陸機「SLIM」マイナス170度の極寒から見事復活する快挙!地球との通信を再開
2024年1月20日に月面着陸に成功したJAXAの月着陸機「SLIM」1月31日からはマイナス170度に及ぶ極寒の月の夜に入っていたため、SLIMは休眠していました。
そして本日、地上から通信を行ったところ、SLIMが無事に応答したとJAXAより発表されました。本記事では、SLIMの最新状況、そして成し遂げた快挙をお伝えしていきます。
JAXA月着陸機「SLIM」が成し遂げた数々の歴史的快挙、ピンポイント着陸や月面探査ロボットを紹介!
■1月20日の月面着陸からSLIMの状況をおさらい
SLIMは1月20日に月面のSHIOLIクレーターへの着陸に挑戦し、見事成功しました。月への着陸したのは日本として初めてであり、世界ではアメリカ、ソ連、中国、インドに続き、5か国目に月着陸を成功させた国となりました。
SLIMは、月面への降下中に二つのメインエンジンの内一つが脱落し、推進力が失われてしまったため、月面着陸後は正常通り太陽電池による発電ができない状況でした。バッテリーを駆動することで地球との通信を行っていましたが、枯渇する前に電源をオフにし探査機を温存することを選択。
その後、月の自転運動により太陽電池へ太陽光が徐々に照射され始め、1月28日に発電が再開されたことが確認されました。更に、搭載していたマルチバンド分光カメラにより、月面岩石の撮影も十分に行うことができました。
その後、1月31日からは月の夜が始まり、太陽電池での発電ができなくなることからSLIMは休眠モードに入ります。
■SLIM、マイナス170度の極寒から驚異の復活!
月の越夜は技術的に難しいことでも有名です。なぜなら、月面の温度差は非常に激しく、日照は約110度、日陰はマイナス170度と、なんと300度近い温度差があるのです。
そのため、海外の月面探査機は原子力電池を搭載するなどして、厳しい低温環境でも生き残る設計となっています。一方SLIMは、月面での越夜は元々想定しておらず、そのための設計なども行っていませんでした。そのため、再度復活できるかは予想ができず、大変注目されていたのです。
そして2月25日夜、SLIMは地球からの通信に応答!なんと月面での越夜に成功したのでした。驚くべき成果であり、この貴重なデータはJAXAが2025年度に予定している月極域探査計画「LUPEX」にも活用できることが期待されます。
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しかし、SLIMの一部の機器温度は100度を超えており、非常に過酷な環境が続いていることには変わりありません。果たして、SLIMが月面でどこまで生き残ることができるのか、今後も注目ですね。
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