初登場の干支生菓子が上品…!「とらや」さんの白小豆たっぷりの薯蕷饅頭とお洒落な琥珀羹は今月15日迄
毎年どの和菓子屋さんも、趣向を凝らした干支のお菓子を販売なさるのが楽しみな私。しかし、卯年や辰年の兎や龍に比べると、蛇そのものがかなりシンプルな造形の生き物ということもあり、表現が難しいのだとか。確かに、これといって目立つ耳や角はありませんね。
しかし、余分な部分をそぎ落としたデザインが映えるというのもまた事実。
羊羹や最中などのご挨拶用のお菓子が飛ぶように売れていく「とらや」さんですが、昨年12月から今月15日まで、迎春の上生菓子が販売されております。
しかも、長い歴史の中でいずれも初出の意匠なのだとか。今回はとらやさんの「幸の訪れ」「廻巳(めぐるみ)」をご紹介。
ふっくら、こんもりとしたとらやさんの薯蕷饅頭は、その造形だけでどこか満ち足りた気持ちになれるような、お手本のような弧を描くお饅頭。優しい眼差しでこちらを見つめる蛇がとぐろを巻いているようですね。
白い蛇は幸せの象徴という謂れの如く、お饅頭の生地だけではなく中餡も白小豆の粒餡。トーンの異なる白で合わせているというのもまた粋ですね。こっくりとした山芋特有の香りとまろやかさ、白小豆の洗練された小豆の風味が口の中で交互に絡み合う優雅な時間を堪能。しっとりとしていながらも、白小豆の皮のしゃきっとした食感も心地良い。
翌日までのお日保ちですがお饅頭は固くなりやすいため、ふんわりとラップをして500wで10秒ずつそっと加熱すると食べやすくなりますのでおすすめです。
さて、お饅頭とは対を成す幾何学的な「廻巳」は、どことなくモダンライクな意匠の琥珀羹。色味は橙色ですが、味わいはシンプルなお砂糖味の錦玉羹。そして蛇の模様は白餡の練り羊羹。つぶらでぱっちりとした紅色の瞳と目が合います…
黄金色の錦玉を光に透かせば、どこか神々しいような、それでいて心の内側から温かくなるような色彩美に思わずうっとり。蛇が持つ神秘的な魅力が閉じ込められているかのようです。
派手さはないものの、目に見えない部分を己の感性で肉付けしながら甘露を嗜むことができるのも大人の特権。麗らかな日差しが恋しくなる季節ではありますが、その思いをお菓子に託しながら召し上がるのもまた一興。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<とらや・赤坂店>
公式サイト(外部リンク)
東京都港区赤坂4-9-22
03-3408-2331
9時~18時(土日祝 9時30分~)
定休日 毎月6日(12月を除く)