新年は京都の人気店「亀屋良長」さんの上生菓子を!幻想的で可憐な意匠の巳年モチーフの練り切りにうっとり
人の数だけ、新年を迎えるにあたって思うところがあるかと思います。それでも、和菓子屋さんがお作りになる華やかな和菓子は心に温もりを灯してくれるのではないかと思うのです。
元旦はお休みになるお店もございますが、前日の大晦日に翌日にいただくお正月の和菓子を購入するのが恒例行事。お店だけではなく、百貨店でも事前予約などが行われ、ご馳走の購入と共に足を運んだという方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。
昨年に引き続き、私は「亀屋良長」さんの迎春のお菓子を。
京都にて220年余りの歴史を紡ぎ、確かな礎を築き上げながらも決して胡坐をかかず、時代に寄り添うような愛らしい和菓子や新しい視点を取り入れたお菓子をお作りになる大好きなお店のひとつ。
今回は、亀屋良長さんの「迎春の和菓子」を四種類ご紹介。
昨年の辰年モチーフはポップでカラフルな印象がございましたが、今回はペールトーンをベースとした可憐な作品がそろい踏み。(辰年の和菓子紹介記事はこちら)
家庭円満などの象徴とされる蕪をお雑煮にいれるという地域もございますよう、縁起物を模った上用饅頭「乙巳(きのとみ)」。ふわりとした食感の中にももちもちとした食感が備わり、こし餡の甘さにほっと一息。つくね芋の芳しさにはじまり、つくね芋でおわるという余韻がまた上品。
これならば、蕪が苦手というお子さんもペロリですね。
ぞっこん、という言葉が私にとっては相応しい、亀屋良長さんのきんとん「初春」。はらりと舌の上に落ちて溶けていくきんとんの粘り気すらも心地良い。繊細で美麗、うっとりとしてしまう配色にも脱帽です。
夢のような光景でありながら、中餡のしゃきっとした粒餡から芯のしたたかさをも実感。
不老長寿になりたいとは思いませんが、健やかに時を重ねていきたいと思わせてくれる常緑樹から名づけられた「ときわ木」。縁起物でもある松の木がキュートに模られていますね!白餡を包んだ練り切りはもっちりとした食感ながらも、上品でどことなく餅粉の香りが鼻をくすぐります。
そして、2025年の干支菓子「嘉祥」。実(巳)を結ぶ年になりますように、という職人さん達の願いが込められた作品です。
中餡が白餡のねりきり製というときわ木と構造は同じですが、その味わいは別物。嘉祥の白餡の方が、食感ではなく甘さが瑞々しいと申しますか、穏やかで清らかな印象を受けるのです。微差かもしれませんが、この違いと向き合える時間を過ごすことがなによりの贅沢。
もし購入なさるという方は、ぜひこのふたつの違いを食べ比べてみて頂きたく。
なんでしょうね、無邪気に新しい年の訪れを祝う、というよりも、平和や安寧への祈りを彷彿とさせるような気持ちにならずにはいられない作品たちでした。
改めまして、謹んで迎春の喜びを申し上げますとともに、本年も皆様が沢山の「口福」と出会えるようお祈り申し上げます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<亀屋良長・本店>
公式サイト(外部リンク)
京都府京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17-19
075-221-2005
9時30分~18時(茶房は11時~17時)
定休日 1月1日~1月3日