ノート(109) 公判前整理手続で弁護側が示した主張の内容
~整理編(19)
勾留79日目
「取調べメモ」の廃棄
この日は、午後5時すぎころから午後7時ころまでの間、最高検の中村孝検事による取調べが行われ、2通の供述調書にサインした。
1通は、厚労省虚偽証明書事件で関係者の取調べを担当し、検察側の証人として公判に出廷した検察官らが口々に「取調べメモ」を廃棄したと証言した件についてだ。彼らがその証言に基づいて市民団体から証拠隠滅罪で刑事告発されているとのことで、参考人としての供述調書だった。
供述調書は、最高検の指示に触れた上で、各検察官としてもこれに基づいて粛々と廃棄したにすぎない、といった内容になっていた。
中村検事には、取調べの本質や取調べメモが証拠隠滅罪の「証拠」といえるのかといった問題にまでさかのぼって説明していたが、供述調書からは全て落とされており、意外だった。こうした点は、僕の供述によるのではなく、おそらく法務省刑事局あたりが知恵を絞り、何らかの統一的な見解を示すのではないかと思われた。
取調べメモの廃棄は全国の検察官が最高検の指示に基づいて日常的にやっていたことであり、それが妥当か否かを法務・検察として改めて明確にし、対外的にも明らかにしなければ、現場としても動きようがない話だった。
もう1通の供述調書は、刑事告発されている朝鮮総連事件に関するものだった。中村検事に語った捜査全体の問題点や最悪だった捜査主任のことなどは全て割愛されており、法廷での僕の証言に焦点が絞られていた。
確かに、刑事処分を決める上ではそれで必要十分だったが、控訴審が続く中、最高検が朝鮮総連事件に関して僕の話をどう取り扱うつもりなのか、気になるところだった。
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