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朝倉未来に代わって平本蓮がRIZINの主役になるのか?大晦日『RIZIN.40』に緊急参戦─。

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
11・6名古屋で弥益ドミネーター聡志に勝利した平本蓮(写真:RIZIN FF)

1年越しの仕返しコメント

「話は変わりますが、朝倉未来どうしたんすか? 会場に来てないから大晦日、まさか出ないなんてないよなって、そこが気になりますね」

12月21日午後、東京・六本木で開かれた記者会見で平本蓮(ルーファスポーツ)の『RIZIN.40』緊急参戦が発表された。

11・6名古屋『RIZIN LANDMARK4』のメインエベントで前DEEPフェザー級王者の弥益ドミネーター聡志(team SOS)に判定完勝した平本だが、左足指の負傷が悪化。そのため、次の試合は来春で大晦日決戦には出場しないと思われていた。

ところが突如、参戦表明。負傷箇所が完治していないことからMMA(総合格闘技)、キックボクシングの闘いは難しい。それでもシューズ着用のボクシングルールでの試合なら可能との判断でリングに上がることを決めたようだ。

対戦相手は未定で当日発表とのこと。

さて、冒頭に記したのは平本蓮の会見での発言だが、これは1年越しの朝倉未来(トライフォース赤坂)に対する仕返しである。

昨年12月、大晦日決戦前の記者会見で朝倉はこう言っていた。

「話は変わりますけど平本蓮どうしたんですか? 会場に来ていないんで。まさか大晦日、出ないなんてことはないよなと思って。そこが気になりますね」

平本は完全コピーのコメントで、RIZINにおける立場の逆転を主張したかったのだろう。

『RIZIN.40』参戦表明記者会見で朝倉未来を挑発する平本蓮。最後は「頭痛ニキ、グッバイ!」と口にした(写真:RIZIN FF)
『RIZIN.40』参戦表明記者会見で朝倉未来を挑発する平本蓮。最後は「頭痛ニキ、グッバイ!」と口にした(写真:RIZIN FF)

今年、メインエベントに3度出場

今年、RIZINはこれまでに12大会を開催したが、誰がメインエベンターを務めたのかを振り返ってみたい。

・2月23日、静岡・浜松『RIZIN TRIGGER 2nd』クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)vs. 佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)

・3月6日、場所非公開『RIZIN LANDMARK vol.2』鈴木千裕 (クロスポイント吉祥寺)vs. 平本蓮(ルーファスポーツ)

・3月20日、大阪『RIZIN.34』弥益ドミネーター聡志(team SOS) vs. 萩原京平(SMOKER GYM)

・4月16日、東京・武蔵野の森『RIZIN TRIGGER 3rd』ルイス・グスタボ (ブラジル)vs. 矢地祐介(フリー)

・4月17日、東京・武蔵野の森『RIZIN.35』ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術) vs. ジョニー・ケース(米国)

・5月5日、場所非公開『RIZIN LANDMARK vol.3』クレベル・コイケ(ボンサイ柔術) vs. 萩原京平(SMOKER GYM)

・7月2日、沖縄『RIZIN.36』鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM )vs. 平本蓮(ルーファスポーツ)

・7月31日、さいたまSA『RIZIN.37』伊澤星花 (フリー)vs. ラーラ・フォントーラ(ブラジル)

・9月25日、さいたまSA『超RIZIN』フロイド・メイウェザー(米国) vs. 朝倉未来(トライフォース赤坂)

・9月25日、さいたまSA『RIZIN.38』堀口恭司 (アメリカン・トップチーム)vs. 金太郎(パンクラス大阪稲垣組)

・10月23日、福岡『RIZIN.39』牛久絢太郎 (K-Clann)vs. クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)

・11月6日、名古屋『RIZIN LANDMARK vol.4』弥益ドミネーター聡志(team SOS) vs. 平本蓮(ルーファスポーツ)

こう見ると昨年とはメインエベンターの顔ぶれが大きく変わっていることが解る。2021年にもっとも多くメインエベントの舞台に立ったのは、それぞれ2度で朝倉未来、朝倉海、萩原京平。だが今年は、それぞれ3度でクレベル・コイケと平本蓮だったのだ。

朝倉未来のRIZIN参戦はメイウェザーとのエキシビションマッチのみ。朝倉海は怪我が癒えず一度も試合をできず、萩原は連敗で失速した。その間にMMAでの実績は乏しいながらも平本が主役の一人に浮上したのである。

実力差は縮まっている

連勝したとはいえ、平本のMMA戦績は2勝2敗。まだ成長途上だが勢いはある。そして、主催者からの強烈なオファーに応えるべくボクシングマッチでありながらも怪我を押して大晦日決戦に出場する決意を固め、さらに朝倉未来を挑発。平本は「RIZINの顔」になろうとしているのだ。

ならば、ファンは因縁の「朝倉未来vs.平本蓮」の実現を期待する。

1年前は、両者の間に大きな実力の開きがあった。いまでも朝倉の方が強いと見る向きが多い。ただ、平本が自らの闘い方を確立したことで大きかった実力差が縮まっていることは確かだ。

平本の来年緒戦の対戦相手は、大晦日のリングで発表される。また朝倉も先日、榊原信行CEOと会って話をし来春にRIZINへ復帰することを決めた。

すぐに直接対決とはならないだろうが、両雄の闘いの結果次第で来秋もしくは来年大晦日に対峙する可能性は十分にある。平本が結果を残せば、朝倉はそれに応えよう。

2023年のRIZINファイティングステージは、さらに熱いものになる。

「那須川天心が去って、朝倉兄弟が終わり、これからは平本蓮の時代です!」

”美しきドブネズミ”平本蓮の言葉は現実になるのか─。

<『RIZIN.40』対戦カード>

 (提供:RIZIN FF)
 (提供:RIZIN FF)

スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストとして独立。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍している。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『伝説のオリンピックランナー”いだてん”金栗四三』、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。

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