なぜバルサはデ・ヨングの“売却”を考えているのか?シャビが求めるストライカーの獲得と必要な資金。
2021−22シーズンが、終わろうとしている。
バルセロナは難しい一年を過ごした。今季途中に監督交代を決断し、シャビ・エルナンデス監督が新たに就任して再出発。だが時間は待ってくれない。次のシーズンに向けて、バルセロナはすでに動き始めている。この数日、話題に上がっているのがフレンキー・デ・ヨングの移籍の可能性だ。
先日、アーリング・ハーランドのマンチェスター・シティ移籍が決定した。
バルセロナはハーランドを狙っていた。しかしながら最終的には、シティが契約解除金6000万ユーロ(約81億円)を支払い、ハーランドの獲得を決めている。
ハーランドを逃したバルセロナだが、依然としてFWの補強を必要としている。現在、名前が挙げられているのはロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)である。ただ、ハーランドの獲得競争に敗れたように、トップクラスのストライカーを確保するには資金が必要だ。
■バルセロナの資金調達
ジョアン・ラポルタ会長は、バルサスタジオやバルサライセンシング&マーチャンダイジング(BLM) 社の一部売却、CVCファンドとの契約締結などによって、資金を調達することを目論んでいる。
一方で、選手売却でお金をつくるという選択肢も捨てていない。そのような状況で、デ・ヨングの移籍話が浮上している。
デ・ヨングは2019年夏に移籍金固定額7500万ユーロ(約101億円)でバルセロナに加入。アヤックスのカンテラ出身で、「同じDNAを持つ選手」として期待されてチームに加入した。
ただ、バルセロナでは思っていたような活躍ができずにいる。エルネスト・バルベルデ、キケ・セティエン、ロナルド・クーマン、シャビと監督交代が繰り返される中で多くのタスクが求められ、適応に苦労してきた。
■恩師とマンチェスター・ユナイテッド
そのデ・ヨングを、マンチェスター ・ユナイテッドが狙っているという。アヤックス時代に彼を指導したエリック・テン・ハーグ監督が、デ・ヨングに関心を示している。
デ・ヨングはバルセロナが“換金”できる数少ない選手である。というのも、アンス・ファティやペドリ・ゴンサレスといったカンテラーノや将来有望な若手選手を売却することはクラブの選択肢に入っていない。外からバルセロナに来て、なおかつ他クラブが「欲しい」と思う選手、それがデ・ヨングなのだ。
他方で、シャビ監督はデ・ヨングを高く評価してきた。
「デ・ヨングは素晴らしい選手だ。難しいゾーンで、ボールを受けるのを恐れない。だがバルセロナでは、エクセレントなレベルが求められる。バルセロナに加入して、(リオネル・)メッシ、(アントワーヌ・)グリーズマン、(セルヒオ・)ブスケッツ、(ジェラール・)ピケ、そういった選手がいる。世界最高の選手たちが揃っている」
「デ・ヨングには適応の時間が必要だった。異なる言語、文化、プレーを理解することが必要だった。それは僕や(アンドレス・)イニエスタでさえ苦労してところだ。だがデ・ヨングはデ・ヨングだ。ブスケッツでも、シャビでも、イニエスタでもない。バルサで若い選手が違いをつくるのは、本当に大変なんだ」
デ・ヨングはバルセロナと2026年夏まで契約を結んでいる。当時、パリ・サンジェルマンなど複数クラブが関心を寄せていたが、デ・ヨングはバルセロナ移籍を選んだ。“バルサ愛”の強い選手だ。
ただ、デ・ヨングを獲得したのはジョゼップ・バルトメウ前会長で、ラポルタ現会長ではない。そして、バルセロナはお金を必要としている。もうすぐ、夏のマーケットが開くーー。何が起きても、不思議ではない。