世界に衝撃与えた鳥山明の死去 「セクシー田中さん」問題も 【マンガ業界2024年回顧】
2024年もさまざまな出来事があったマンガ業界。象徴的な出来事を振り返ってみます。
今年も楳図かずおさんや高橋真琴さんなど著名なマンガ家の訃報があり、大手メディアで大きく扱われるようになりました。その中でも鳥山明さんの死去は、68歳の若さに加え、新作アニメの放送、サウジアラビアでのテーマパークの建設などもあるだけに、衝撃だったでしょう。また無関係に思える、欧州や南米のサッカーのクラブなど世界中が反応したことに驚き、そのすごさを改めて実感した人もいたのではないでしょうか。
・【追悼の声】漫画家 鳥山明さん死去 68歳 「DRAGON BALL」など(NHK)
・なぜブラジルのサッカーチームが「追悼・鳥山明」を次々と表明するのか…ドラゴンボールとの意外な共通点 サッカー選手の生き方は孫悟空そのもの(PRESIDENT Online)
・ドラゴンボールのテーマパークがサウジアラビアに建設 なぜ?
マンガだけでなくエンタメ業界全体、特に映像制作に波紋を投げかけたのは、「セクシー田中さん」の問題でしょう。ドラマ「セクシー田中さん」を巡り、原作マンガを手掛けた芦原妃名子さんが放送後にネットでのトラブルに巻き込まれて亡くなり、誹謗中傷や“犯人探し”に発展する展開になりました。日本テレビや小学館が調査報告書を公表したものの、不満の声はいまだにあり、引き続きの課題になりそうです。
・「セクシー田中さん」報告書での原作改変巡るトラブル アニメ業界ではあるのか?
・「セクシー田中さん」報告書に欠けた"問題の本質"(東洋経済オンライン)
・なぜ、作家性は守られなければならないのか?──ドラマ『セクシー田中さん』で浮き彫りになった原作者軽視の悲しき慣習(GQ)
一方でネットの利点を生かした挑戦が始まっています。「キャプテン翼」の作者・高橋陽一さんが、通常のマンガ連載を終えて、鉛筆描きの絵「ネーム形式」にして、ネットで公開すると発表。決断は誰にも来る加齢による衰えや、連載のスピードの遅れをカバーする狙いがあり、さらに今後のAI生成の進歩なども見越こつつ、物語を残す決断を優先したもの。他のマンガ家に影響を与えるかも含めて注視でしょう。
・「キャプテン翼」約43年の連載終了 サッカー漫画の金字塔(NHK)
・サッカー界に貢献した「キャプテン翼」三つの魅力 長期連載になった理由
・『キャプテン翼』高橋陽一「良いシュートが描けるとゴールさせたい」。ネーム連載の最新シリーズで22歳の大空翼が“W杯優勝”を掴むまでの構想とは【インタビュー】(ダ・ヴィンチWeb)
出版社のデジタル事業は好調ですが、紙媒体は大変なのは変わらず、町の本屋さんが姿を消しています。そしてマンガの人気のあかしともいえますが、海外の海賊版対策なども求められ続けています。来年以降もどのような動きを見せるか注目です。
・2023年出版市場(紙+電子)は1兆5963億円で前年比2.1%減、コロナ前の2019年比では3.4%増 ~出版科学研究所調べ(HON.jp)
・「漫画村」元運営者に17億円余賠償命令 “出版権を侵害”(NHK)
・AIと著作権、文化庁が「考え方」英訳を公表 「諸外国で関心高い」(朝日新聞)
・人気雑誌も「休刊ラッシュ」の苦境 出版社の3割超が「赤字」 過去20年で最大、出版不況で低迷脱せず(帝国データバンク)
・「マンガ図書館Z」サイト停止の背景を創設者の赤松健さんが説明 SNSでは決済代行会社による「焚書」と強い反発(ITmedia NEWS)
・「テルマエ・ロマエ」復活 人気漫画の続編、少年ジャンプ+で連載へ(朝日新聞)