Netflixで映画化 ノルウェーのテロ事件を街中で撮影・再現し、通行人を驚かせる
2011年7月22日、アンネシュ・ベーリング・ブレイビクによって、77人の命が奪われたノルウェーでのテロ事件が映画化される。
ポール・グリーングラス監督による『Norway』は、Netflixが製作権を獲得。
ブレイビクを演じるのは、『オスロ、8月31日』や『ノーベル~戦火の陰謀~』で演じたノルウェー人俳優アンデルシュ・ダニエルセン・リー。
テロはノルウェー最悪の惨事であり、未だに出来事を忘れられずに苦しんでいる人も多い。
人口520万人という小さな国で起きた事件は、教育現場などでは教師にとって話しにくいタブーとなっている。
なぜ極右思想をもつ人物がノルウェーで生まれたのか、議論する必要があるとされているが、「もう先に進んでいこう」という意見もある。
現地の人々にとっては、まだまだタブーなのだ。取材をしていると筆者はたびたび感じる。
テロの映画化の話にノルウェー人は敏感だ。あの時のつらいシーンをもう一度見ることになる。犠牲者の家族からは、まだまだ待ってほしいという声も以前から聞かれていた。
映画は早すぎる、やめてほしい、ボイコットをしようと、2万2千人が抗議文書にサインをした。
そんな中、映画『Norway』の撮影チームは、2日、オスロ中心地にあり、爆破現場となったオスロ政府庁舎で撮影。通行人を驚かせ、このことは各メディアで大きく報じられた。
武装した警官、血にまみれた犠牲者、走って逃げる人々。
「土曜日、アーケル通りを歩いていた人々はあの時の生々しいシーンをもう一度目にしなければいけなかった」と書いたのはアフテンポステン紙。
「国外で需要があるのは分かるが、ノルウェーにはまだ早すぎる」、「変な気分でした。急にあの日のことをまた身近に感じた」、「作るなら敬意を払って作って欲しい」などと通行人は現地メディアに答える(NRK、VG)。
銃乱射事件により69人の命が奪われたウトヤ島でも撮影がおこなわれたが、撮影チームから住民への事前の連絡が遅すぎたことで批判を浴びた。
Text: Asaki Abumi