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入村者続出中、大人もハマる映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の広がる盛り上がり

小新井涼アニメウォッチャー
(提供:イメージマート)

誰もが知っている「ゲゲゲの鬼太郎」、その新作映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」が、今月17日の公開から大人達の間でじわりじわりと話題になっています。

実際に身の周りで、日曜朝のイメージも強い「鬼太郎」が、キッズファミリー層だけでなく意外な人達にまで鑑賞されていることに驚いている人も少なくないのではないでしょうか。

また、盛り上がりを目にした人の中には、「鬼太郎」の話をしているはずなのに、鑑賞した人が「父さん」や「水木」といった耳慣れない言葉ばかり口にするのを不思議に思っている方もいるかもしれません。

本作は一体どんな作品で、何故こんなにも今、大人達の間で話題になっているのでしょうか。

  • ※以下、核心に迫るネタバレはありませんが物語の内容に触れています

■映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」とは

テレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期の劇場版として位置づけられる本作ですが、内容としては続編ではなく、タイトルの通り鬼太郎の誕生にまつわるエピソードゼロ的な物語です。

しかもこれまで漫画やアニメでも描かれてきた鬼太郎誕生の瞬間ではなく、そこに至るまでの父や母の世代に焦点をあてた、鬼太郎誕生のルーツに迫るお話となっています。

そのためメインで描かれるのも鬼太郎本人ではなく、父さんこと鬼太郎の父(かつての目玉おやじ)と、鬼太郎の父と行動を共にすることになる水木という男の二人。

昭和31年の日本を舞台に、二人がそれぞれの目的の下とある呪われた村を訪れ、そこに隠された陰謀や怪奇に挑む――鬼太郎誕生のきっかけとなったとある事件が語られます。

そうした本作の物語から鑑賞を”入村”にたとえて、本作を鑑賞する人=入村者が、現在続出しているのです。

■大人ほど伝わる怖さとバディものとしての熱さ

そんな本作が鑑賞した大人達を次々と夢中にさせている理由には、「鬼太郎」映画でありながら実はPG12でもある本作の、容赦も妥協もない怖さがあると思います。

しかもそれは、作中で描かれる村の惨殺事件や怪奇といった“目でみてわかる”怖さだけではありません。

村に隠された謎と共に徐々に明かされる人間の醜さや業の深さなど、大人になるほどその恐ろしさが理解(わか)る後を引く怖さも多分に含まれているのです。

またそうした怖さだけでなく、本作には鬼太郎の父と水木によるバディものの要素やアクション、様々な絆や因果を描いた熱くしんどい要素も存分に散りばめられています。

そんな本作の、鑑賞している間は先が気になって目が離せず、鑑賞後にいつまでも余韻が残るような後味は、横溝正史氏の小説やドラマ「トリック」のような作品を好む大人達には特に刺さっているようで、口コミで今なお、新たな入村者を増やし続けているのです。

こうした、本作に散りばめられた大人も思わず深く惹きこまれる様々な要素は、「まさか大人になってから鬼太郎にハマるとは…」と、自分でも驚いている新たなファンを生み続けています。

そんな、誰もが知っている鬼太郎で「こんな鬼太郎知らなかった」が存分に味わえる本作。

年末にかけて話題作の公開も重なる中、この盛り上がりがどこまで広がり続けていくのか、まだしばらく目が離せそうにありません。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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