代表監督も来日視察!!Jリーグ開幕を韓国メディアはどう伝えたか
2月27日のJリーグ開幕のニュースは早くもお隣・韓国で報じられている。韓国では近年、ACLなどでの対戦時はともかく、Jリーグ単体への関心は薄らいでいた。アジアサッカーといえば日本でも最近、中国がホットキーワードとなっているが、韓国でもそれは変わりなく、注目を集めるのはJリーグよりも中国のほうだった。
(参考記事:韓国が見たJリーグ「選手の立場からするとJの魅力は10年前に比べて半減した」)
だが前回のコラム紹介した通り、やはり今季はJリーグにも関心が集まっている。メディアが注目するのは、今季からJリーグでプレーするGKたちだ。
例えばスポーツ新聞『スポーツソウル』は、「開幕戦で喜悲分かれたJリーグ進出GK三銃士」という見出しで、チョン・ソンリョン(川崎フロンターレ)、キム・スンギュ(ヴィッセル神戸)、イ・ボムヨン(アビスパ福岡)の活躍ぶりを紹介している。3人とも先発出場したことで、「開幕戦で先発の機会を得たことでチーム内の主力争いでは青信号が出たことを示したが、3人のJリーグデビュー戦は喜悲が分かれた」とした。
合格点と評価されたのは川崎フロンターレのチョン・ソンリョンだ。「デビュー戦で昨季Jリーグ王者の広島を相手にすることは負担にはずだったが、確かな守備力で良いスタートを切り、Jリーグへの軟着陸に成功した」と報じている。
一方、ヴィッセル神戸のキム・スンギュとアビスパ福岡のイ・ボムヨンに関しては「ほろ苦いデビュー」になったと指摘。「キム・スンギュは2失点を許したが、何度か好セーブを見せて好評を得た。日本のマスコミもキム・スンギュの防御力よりも神戸守備陣のミスを指摘している記事が多い。また、イ・ボムヨンが属する福岡はJ2からの昇格組のため、客観的に既存のJ1クラブとの競争は簡単ではない。そんなチームの特殊性によって、イ・ボムヨンは当分の間、苦しい戦いを余儀なくされるだろう」と報じている。
「Jリーグ開幕戦、ソンリョンは“ニッコリ”、スンギュ、ボムヨンは“残念”」との見出しで報じたスポーツ新聞『スポーツ朝鮮』も論調は変わらない。日本のサッカーダイジェストやサンケイスポーツの採点や寸評なども紹介しながら、彼らの出来についても報じている。記事を書いたパク・サンギョン記者は旧知の間柄だが、彼も言っている。
「3人はいずれも韓国を代表するGK。ただ、韓国ではGKの海外移籍は前例がさほど多くなく、国内(Kリーグ)の競争力が弱体化すると憂慮する声もありましたが、彼らが海外で韓国代表にふさわしい技量を見せるかは関心事になっています。これからも詳細に報じられるでしょう」
日本に渡った韓国人GKに熱視線を送るのは、メディアやファンだけではない。韓国代表を率いるドイツ人監督ウリ・シュティーリケ監督も、韓国代表GK三銃士に熱視線を注ぐ。年末年始の休暇を終えて2月18日に58日ぶりに韓国に戻り、ACLなどを精力的に視察していたシュティーリケ監督は緊急来日し、昨日のヴィッセル神戸対ヴァンフォーレ甲府の試合を視察したというのだ。
本日28日には東京に移動し、J2の開幕戦となるFC町田ゼルビア対セレッソ大阪もその目で見守る予定だという。セレッソ大阪にはGKキム・ジンヒョンがいるが、KFA関係者によるとシュティーリケ監督が直接点検することを強く望んだらしい。韓国代表は今後、レバノン代表(3月24日)、クウェート代表(3月29日)とのワールドカップ・アジア2次予選が控えているが、そのメンバー選考のための視察なのは明らかだろう。
いずれにしても今季から日本にやって来た韓国人GK効果もあって、隣国でもJリーグに注目が集ることは意義あることだと、個人的に思う。Jリーグにふたたび脚光が当ることで、Jリーグのリーグ運営や熱気が韓国に伝わることは、さまざまな意味でかの国に刺激をもたらす。「韓国国内の注目度こそ下がっているが、総合力で見たときにアジアNo.1リーグであることだけは間違いない」と評価する韓国人記者も多いのだ。
(参考記事:韓国人記者も評価!!「総合力ではJリーグがアジアNo.1だ!!」)
近年は中国の“爆買”があまりにも強烈で韓国でもそこにばかり注目が集まりがちだが、クラブ運営や地域密着方法など、韓国がJリーグから学び参考にしなければならないことはまだまだたくさんある。まして近年のKリーグは、企業クラブも市民クラブもその存在意義を問われている。そういう意味でも、今季は韓国にとっても“Jリーグ再発見”のシーズンになってほしい。