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シーズン100勝以上を挙げながら地区優勝を逃したチームになるのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
オラクル・パーク Jul 29(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月を終え、サンフランシスコ・ジャイアンツは両リーグ最多の105勝を挙げている。次に多いのは、103勝のロサンゼルス・ドジャースだ。両チームとも、ポストシーズン進出は確定している。けれども、まだ気は抜けない。

 ジャイアンツとドジャースは、どちらもナ・リーグ西地区のチームなので、一方は地区優勝、もう一方はワイルドカードとなる。地区優勝であれば、ポストシーズンはディビジョン・シリーズからスタートするが、ワイルドカードの場合、1試合で決まるワイルドカード・ゲームで勝たないと、ディビジョン・シリーズには進めない。

 地区制が始まった1969年以降、レギュラーシーズンに100勝以上を挙げながら、地区優勝を逃した例は4度ある。1980年のボルティモア・オリオールズ(100勝/ア・リーグ東地区)、1993年のジャイアンツ(103勝/ナ・リーグ西地区)、2001年のオークランド・アスレティックス(102勝/ア・リーグ西地区)に、2018年のニューヨーク・ヤンキース(100勝/ア・リーグ東地区)がそうだ。

筆者作成
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 1993年までは1リーグ2地区制で、ポストシーズンの最初のシリーズは、東地区と西地区の優勝チームが対戦するリーグ・チャンピオンシップ・シリーズだった。そのため、1980年のオリオールズと1993年のジャイアンツは、ポストシーズンへ進めなかった。

 3地区制となったのは、1994年だ。この年はストライキにより、ポストシーズンがなかった。1995年から2011年までは、1リーグにつき、東地区、中地区、西地区の優勝チームとワイルドカードの計4チームが、ポストシーズンに進出した。2001年のアスレティックスは、東地区優勝のヤンキース(95勝)とディビジョン・シリーズで対戦し、2連勝後に3連敗を喫して敗退した。

 2012年からは、ワイルドカードが1リーグ2チームに増え、ワイルドカードの両チームは、ディビジョン・シリーズの前にワイルドカード・ゲームで対戦することになった。例外の昨年を経て、今年のポストシーズンも、このフォーマットで開催される。

 2018年のヤンキースは、ワイルドカード・ゲームでアスレティックス(97勝)を下し、ディビジョン・シリーズで東地区優勝のボストン・レッドソックス(108勝)に敗れた。このシリーズでヤンキースが勝利を収めた試合は、田中将大が先発登板した第2戦しかなかった。田中は5イニングを投げ、ホームランによる1失点に抑えた。

 10月1日~3日に、ジャイアンツは本拠地のオラクル・パークでサンディエゴ・パドレスと3試合を行う。ドジャースは本拠地のドジャー・スタジアムでミルウォーキー・ブルワーズと3試合だ。西地区のパドレスはポストシーズンに進めないことが確定していて、中地区のブルワーズはすでに地区優勝を決めている。

 ジャイアンツは2勝すれば、ドジャースの勝敗にかかわらず、地区優勝を手にする。一方、ジャイアンツが0勝3敗でドジャースが3勝0敗だと、地区優勝はドジャースだ。ジャイアンツが1勝2敗でドジャースが3勝0敗の場合はどちらも106勝、0勝3敗と2勝1敗ならともに105勝。両チームが並んだ時はポストシーズンの前に対戦し、この163試合目に勝ったチームが地区優勝、敗れたチームはワイルドカードとなる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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