ベンチャー企業は大企業の「エサ」にされてしまう
ベンチャー企業支援というが、「エサを与える行為」にしかおもえない。
アベノミクスの第3の矢の本命といわれているのが、6月下旬に政府がまとめる成長戦略である。そこに、ベンチャー支援策が盛り込まれる。ベンチャー企業創業数の少なさと成功数の少なさは、かなり以前から言われ続けている問題だ。
ビジネス環境が大きく、しかも速く動いているなかでは、それに対応するビジネスを起こすベンチャー企業の存在が、経済活性化のためには重要になってくる。日本経済の活性化が遅れているのは、ベンチャー企業が育ちにくい日本の土壌にも大きな原因がある。
その意味で、成長戦略にベンチャー企業支援が盛り込まれるのは意義あることだ。しかし、内容がいけない。
今回の成長戦略での柱は、ベンチャー創造協議会なるものだ。どういうものかといえば、ベンチャー企業と大企業を結びつけるのが役割を担うらしい。
大企業と連携することでベンチャー企業の事業拡大につなげ、ベンチャー企業からの刺激を受けて大企業がベンチャー企業化する、というのが政府の構想らしい。理想としてはいいのかもしれないが、頭を傾げざるをえない。
これまで日本でベンチャー企業が育ってこなかったのは、成功しそうなベンチャー企業の発想やビジネスを大手企業が「横取り」するケースが多かったからだ。だから、ベンチャー企業には大企業に対する不信感が強い。
成長戦略に盛り込まれるベンチャー創造企業は、大企業がベンチャー企業の発想やビジネスを横取りしやすい場をつくることにもつながりかねない。大企業という野獣に、エサを与えるような行為になりかねないのだ。
ベンチャー企業支援といいながら、結局のところ、大企業を太らせるだけの施策でしかない。