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【バスケットボール女子日本代表】唯一の大学生、朝比奈あずさが語るパリ五輪への思い

青木崇Basketball Writer
日本にとって貴重なフロントラインの選手として貢献度アップが期待される朝比奈(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 筑波大学2年生の朝比奈あずさは、身長185cmの非凡な能力を持つセンターとして、桜花学園高時代から将来を嘱望されていた。高校卒業後の2022年に代表候補となると、昨年のFIBAアジアカップとアジア競技大会ではメンバーに選ばれ、国際舞台を経験する。

 しかし、FIBAアジアカップが0分、アジア競技大会もわずか40秒と、朝比奈は中国との決勝戦でチームに貢献する機会を得られなかった。2月にハンガリーで行われるパリ五輪最終予選(OQT)は、選手キャリアのターニングポイントになりうるビッグイベントになるかもしれない。

 現在行われている合宿では、フロントラインでプレーするオコエ桃仁花と馬瓜ステファニーという海外のチームに在籍する選手の姿がなく、2人が最終予選に出られるのか微秒な状況。自分の存在価値を高める絶好のチャンスであることは、朝比奈も十分に理解している。

「自分にとってチャンスっていうものがあるとしたら、それをつかみきることが自分にとっての課題でもあるし、もったいないで終わらせたくないと思っています。しっかりこのチャンスをこの合宿を通じて成長することによって、日本の力になれるというところを自信を持ってできるように練習していきたいです」

 1月14日に高崎アリーナで行われた公開スクリメージでは、大ベテランの髙田真希と一緒にフロントラインを構成するシーンもあった朝比奈。しかし、OQTで出場機会を得るには、髙田のバックアップとしてインサイドでフィジカルに戦えることを証明することと、オープンの3Pショットを決められることが重要だ。

 女子日本代表を率いる恩塚亨コーチは、サイズ以上に走れてシュート力があることと、チームプレーにコミットできて、やり抜けることが、メンバー入りに必要不可欠な資質として重視。朝比奈は大学入学後に3Pショットのレベルアップに力を入れており、「3Pは特に取り組んできたところではあるので、そこをしっかり発揮していきたいと思っています」と語る。

 ただし、代表メンバーの12人に選ばれたとしても、朝比奈はベンチを温めるつもりなどまったくなく、プレーで貢献したいという思いが非常に強い。それは、FIBAアジアカップとアジア競技大会の中国戦で出場機会を得られなかった悔しさと、パリ五輪でプレーできるチャンスという2つのモチベーションから来ている。

「この大会はパリ・オリンピックの切符がかかっているということもあって、やっぱりその一選手になるからにはその責任が絶対あると思っているので、その責任を果たせるくらいしっかり自信持ったプレーができるように練習をしていきたい」

 もちろん、朝比奈がチーム内の競争を勝ち残らなければ、OQTで世界レベルを体感することはできない。恩塚コーチに朝比奈の良さを質問してみると、次のような答えが返ってきた。

「彼女の一番の良さを見た時には、オフェンスで言うとつなぎになってくれる。それは困っている人を探せるし、ディフェンスの穴を突いて動きを入れることもできる。そういう意味で潤滑剤みたいな要素は特別な感性を持っています」

 世界レベルで比較してしまうと、185cmという朝比奈の身長はセンターとして小さい。しかし、長年日本代表として世界と対峙してきた髙田真希の存在は、代表選手として成長する過程で大きな意味がある。それは、朝比奈が次のように語ったことでも明らかだ。

「髙田選手が自分の目標とする選手でもあるし、憧れの選手であるんですけど、やっぱりその髙田選手を自分が超えられるような選手になることが、やっぱ日本のバスケにとって自分にそれが大事だと思っています。

 練習の中でも試合でも、見るだけですごく学べることがたくさんあります。その期間も長くはないと思うので、しっかり見て盗むところだったりとか、実際に練習中にマッチアップさせていただくこともあるので、その中でいろいろなことを肌で感じながら、もっともっと成長していきたいと思っています」

 OQTに臨む今回の女子日本代表は、正直なところフロントラインの層が薄いチームと言われても仕方ない。そんな懸念を払拭し、朝比奈がパリ五輪の出場権獲得に貢献という成果を出せるか否かは、女子日本代表の将来を左右する大事な要素の一つという気がしている。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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